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はじめての野球ユニフォーム作り
〜スピリットをかたちにする〜

マーク全般編



2013年11月1日(金曜日)
「サイズがちがっても、同じ大きさのマーク」

 
サイズがちがっても、同じ大きさのマークを取り付けるのが、野球ユニフォーム・コートの習わしです。標準サイズ(大人ならLサイズ、ジュニアなら140サイズ)を基本にマークの大きさを決めるので、小さいサイズではマークが相対的にやや大きく、大きいサイズではマークがやや小さくなります。
プロ野球でも同様で、彼らの場合、とても体格がよい選手が多く、おそらくXOサイズを基準としていますが、そうするとSサイズの選手はとてもマークが大きく見えます。
どちらかと言うと、野球=スポーツでは、マークが気持ち大きいくらいの方がかっこよく決まります。マークが小さいと、品良く見える場合もあるのですが、弱々しく見えてしまう場合も多いです。
 
 

2010年10月19日(火曜日)
「一回り小さく、二回り大きく」

 
野球ユニフォーム作りでは、マークの大きさを微調整することがあります。微調整する時のコツは、小さくするときは一回り、大きくするときは二回りです。小さくするときは10%ほど小さくするだけで、かなり小さくなったように感じられます。大きくするときはその逆。思い切って20%近く大きくした方が印象のちがいがしっかり出てきます。
 
 

2010年2月15日(月曜日)
「ラフデザインでもいい」

 
ロゴマークやワッペン等でオリジナルのものを作りたい時、ユーザの方からまずラフデザインを提示するという場合があります。その時に、どれくらいラフの図案でよいのかというと、本当にラフでよいのです。酔っぱらって利き手でない方で書いたような、訳の分からないくねくねしたものでもかまいません。誰もがデザインが得意とは限りません。ただしっかりと何を求めているのかを伝えてください。そのラフからお客を満足させるデザインを起こせるかどうかがお店の腕の見せ所とも言えます。
(ただしもちろん、きちんと作り気・買う気がないとお話にはなりません。単にお店の力量を見よう、デザインだけ作ってもらおうというのは、冷やかし・営業妨害です)
 
 

2009年9月30日(水曜日)
「ちょっと上めがいい」

 
マークは下がってみえることを嫌います。下がって見えると、弱々しく感じられたり、鈍重に感じられてしまうためです。「下がって見える」とはどういうことかというと、分かりやすいのは「むかって右下がり」のロゴです。他にも、胸番号の位置がベルトに寄り過ぎている、ワッペンの中心パーツが相対的に下である等も、「下がって見える」事例です。ですから、マークは「ちょっと上」に見えるぐらいでちょうど良い場合が多いです。
 
 

2009年7月15日(水曜日)
「マーク色数の価値」

 
マークの配色は、たしかに色数(色層)が増えるほど高くなります。1色マークよりも2色マークの方が、2色マークよりも3色マークの方が、加工単価は高いです。しかし、単価が高い=価値があるとはちがいます。1色マークには1色マークの良さ、それ以外の配色にもそれぞれの良さがあるのです。1色マークの良さを、2色マークや3色マークではあらわすことができないのです。たまたま、使う色数が増えるほど材料や手間がかかるので、単価が高くなるというだけです。
 
 

2009年6月15日(月曜日)
「同色グラデーション」

 
最近マークでは、グラデーション配色を使うことができるようになりました。グラデーションというと、虹のように次々と色が変わってゆく様がよく挙がってきますが、野球ユニフォームに関していえば、どうもそうしたグラデーションは似合わないケースが多いようです。どちらかと言えば、同色のグラデーション(例:濃い青から水色への変化)の方がしっくりきます。マークだけきらびやかであれば良いというものではなく、やはりユニフォーム全体とのバランス、チームカラーをおさえた配色が、グラデーションでも大事だということだと思います。
 
 

2009年4月27日(月曜日)
「金・銀は高い!?」

 
マークでは金・銀のカラーを使うことができます。金・銀は、きらきらしていて美しく豪華です。単なるイエローやグレーでは出せない輝きがあります。マークは通常、マーク生地と刺繍糸からなりますが、実は、それらの素材で金・銀は他のカラーよりも若干高いのです。やはり、かかった費用の分だけのプラス価値があるとも言えます。だからといって、金・銀を使うとマークの販売単価が上がるかというとそういうことはありません(世の中のお店にはあるかもしれませんが)。
 
 

2008年4月24日(木曜日)
「1mmが問われるマーク箇所」

 
マークのデザインでは1mmの大きさが問われる時があります。とりわけ帽子マークや袖マーク、袖ワッペンなど、小さなマーク箇所の時です。縦や横の長さだけではなく、面積という見た目の大きさがかかわってくるからです。
たとえば円形の袖ワッペンはおおむね直径9cm程ですが、直径が89mの時と直径が90mmの時では、面積では2%程の差があります。2%ぐらいでしたら、気づかない人は気づかない差かもしれません。しかし直径88mmと直径92mmで比べると、直径差はわずか4mmですが、面積では約9%の差になります。これはもう誰でも見ただけで大きさが一回りちがうなと感じられる差になります。  
 

2009年3月23日(月曜日)
「ヘルメットマークの種類」

 
ヘルメットマークが、野球ユニフォームに属するかどうかは置いておきます。ヘルメットマークの種類は主に3つあり、ユニフォームのマーク加工法に影響を受けています。ひとつは、刺繍タイプ。これは帽子マークの刺繍タイプをほぼそのままヘルメットマークに転用したものです。刺繍の豪華さが際立ちます(現在のプロ球団はほとんどこのタイプ)。2つ目は切りマークタイプ。マークに使うマーク生地を切ったもの。圧着マークの材料ですね。これをユニフォームに貼り付けるかわりに、ヘルメットに貼るものです。最後がヘルメットマーク特有のシールタイプ。薄く平べったいのでヘルメット向きとも言えます。値段が安いですが、ちょっと威厳には欠けてしまいます。
 
 

2009年1月26日(月曜日)
「マーク価格は材料費・加工時間・手間」

 
マーキングの価格は、材料費・加工時間・手間の3つで左右されてきます。
材料費は、マーク生地と刺繍糸、それをどれだけたくさん使うかです。マークの面積が増えるほどかかってきます。
加工時間は、ミシンを使っている時間です。面積が広かったり、複雑な図形ですと、加工時間が長くなり、マーキングの基本道具・機器であるミシンを占有します。
手間は、加工時間とはまたちがったもの。マーキングは全自動でできるわけではなく、必ずどこでも人の手が入りますが、それにかかわる人数・時間がかかると価格に影響してきます。
これら3つが複雑に関係しあうので一般のユーザにとっては、マーク単価は必ずしも分かりやすものではないようです。
 
 

2008年12月18日(木曜日)
「金・銀の価値」

 
マークの刺繍糸では金糸・銀糸を採用できます。マーク生地にも金メタリック・銀メタリックというものがあります。これら金・銀というのは、黄土色や黄色、グレー色とはまったくちがった価値をもっています。とりわけ強い光が当たったときの輝き具合がちがうのです。たとえるなら、鏡と石ぐらいちがいます。
 
 

2008年12月8日(月曜日)
「透明感のあるマーク」

 
最近のマーク技術の進歩によって、グラデーションやパステルカラーが採用できるようになりました。従来のマークではいわゆる原色をベースとしたデザインが主流でしたが、これからは透明感のあるマークも選択肢に入ってきます。透明感というと力強さとちがって野球ユニフォームには似合わない感じもありますが、自然に存在するものは原色でないものがほとんどで、そういう観点からはよりリアルなマークに仕上がるかもしれません。
 
 

2008年9月12日(金曜日)
「白シャツに白文字マークは変か?」

 
ホワイト色のシャツに、ホワイト色の胸マーク文字や背番号数字は変でしょうか?(文字や数字のフチとしてホワイト以外のカラーが付くことは前提)
いわゆる白抜き文字となってしまいますが、チームカラーを重視したユニフォーム・デザインという観点からは正統なパターンの1つと言えます。たとえば黒シャツに、黒文字*白フチ*赤影というマークは、かっこいい配色の1つですし、黒というチームカラーを中心においています。それと同様に、白シャツに、白文字*黒フチ*赤影というマークも、まったく問題がないと言えます。
 
 

2008年7月30日(水曜日)
「ホワイト糸やグレー糸を銀糸に変えてみる」

 
マークのホワイト糸やグレー糸の部分を、銀糸に変えてみるのも技法のひとつです。金額も一般的には変わりません。銀糸ならではの華やぎが出つつ、ホワイトやグレーのチームカラーをそこないません。とくに帽子マークで試してみる価値があります。
 
 

2008年6月27日(金曜日)
「背面ブランドマーク」

 
日本のプロ球団では数年前から後衿(正確には首の根元)のところにブランドマークを付けるようになりました。帽子の後ろにも付いていたりします。一般のファッションでも後衿や帽子後にはブランドマークを付けることがあって、なるほど、これはこれでデザイン的にカッコイイなと思います。
くわえて、背番号ばかり目立ちがちな背面のデザインにあって、小さくてもブランドマーク、ロゴマークが入るというのは、そのチームらしさが出てよいなとも思います。単にマークを珍しい箇所に入れてみたというだけでなく、もっと広い意味をもたせられそうです。よくメーカロゴマークがウェアのどこかに必ず入っていたりしますが、それに通じるものがあるかもしれません。あんまりたくさんのロゴマークばかり付いてもうるさいですが。
 
 

2008年4月15日(火曜日)
「立体であることと立体的に見えること」

 
胸マークや帽子マークあるいはワッペンの「デザイン」は、基本的に平面の存在です。しかし立体感があるかどうかはマークの迫力にかかわってきます。
たとえば胸マークの筆記体はよく見ると、末尾にむかってだんだんと文字が小さくなっていることが多いです。ほんのわずかな違いですが、技法のもつ効果は大きいです。
立体的に見せるためには、ある物体がだんだんと小さくなってゆく様を見せること、あるいは、色の濃淡を付けることの2つがよく使われます。
ただし忘れてならないのは、どんなに立体的に見せてもそれは立体にはならないという点です。とりわけ正面からではない別の角度から見られた時に立体感が減少します。角度が変わったのだから、大小の比率が変わるべきなのに変わっていない。光のあたり具合が変わったのに、色合いが変わっていない。そういった変化の無さを人間の脳は一瞬で感じとってしまいます。
野球のロゴマークも、デザインの中でいくら立体的に見せても、やはり限界があることを忘れないようにしたいです。絵画のように飾ってあって正面ばかりから見られるわけではないのです。加工の観点からすると、プリントが刺繍にかなわないことがあると言えます。
 
 

2008年4月2日(水曜日)
「鏡の中から手が出てくる」

 
目の前に鏡があります。自分の上半身が映っています。鏡の中の自分の腕が、鏡から抜け出てこちらにきます。
これが、マークをデザインする時のコツのひとつだと言えます。枠をつくって、そこからわざと飛び出させるということです。こうすることで、奥行きと躍動感が出ます。また単なる立体感とはちがうものが出ます。鏡にたとえたのは、そこに恐ろしさに通じるような奇妙な感覚を感じて欲しかったからです。普通ならありえない物の配置が存在の強さを感じさせてくれます
一般的にはワッペンによく使う構図です。円形の土台から、ロゴマークやバット等の小物が交差しつつ飛び出すとデザインに面白みが出てきます。
胸マークや帽子マークにも応用できます。たとえば、親指と人指し指を合わせて円を作ってみます。できた円の中を通しつつ、今度は反対側の親指と人指し指を合わせる。こういう交差を文字同士に持たせるのです。たとえば「G」と「O」の重ね文字で想像してみましょう。基本的には「G」が「O」の下側にありますが、横棒のところだけは「G」が上に来るようにします。
 
 

2008年3月13日(木曜日)
「マークを1色で仕上げる」

 
マーク配色が1色というチームは10%未満です。3色以上のチームは30%前後ですので、1色マークのチームというのは意外と少ないと言えます。
1色マークの魅力のひとつは、価格を低くおさえられることです。材料や加工の手間が減るわけですから当然のことです。2色マークや3色マークと比べると、一般的に2,000円以上安くできます。
しかし1色マークの魅力はそれだけではありません。ウェアと上手く調和すると、とてつもない力強さやシャープ感が出るのです。ただ単にシンプルに仕上がるだけではないのです。まさに玄人好みのデザインと言えます。
数多くのユニフォームに接する販売店やメーカのスタッフの中にも、1色マークでいかにカッコイイ野球ユニフォームを作れるか、それに大いなる挑戦意欲を湧きたてられる者がいます。
 
 

2008年1月15日(火曜日)
「マークの配色パターン数」

 
マーキングで使う主なカラーには以下があります。
レッド系(4色):レッド、オレンジ、エンジ、ピンク
イエロー系(2色):イエロー、カーキ
グリーン系(3色):グリーン、黄緑、エメラルドグリーン
ブルー系(4色):ブルー、水、ネイビー、パープル
モノクロその他(5色):ブラック、ホワイト、グレー、金、銀
ですから、胸マークの配色を3色とした場合、ざっと5,508通り=(4+2+3+4+5)*(4+2+3+4+5-1)*(4+2+3+4+5)の配色が考えられます。
胸マークが2色であっても306通りになります。胸マークが3色であって、そのうち1色が固定されていたとしても、残りの2色が決まっていなければ、やはり306通りのパターンがあります。
もちろん中には好ましくない配色パターンもありますが、それでも、マークの配色パターンというのは軸がないと増えてしまうものなのです。ウェアやライン加工などとの組み合わせも考えなければなりません。何が言いたいかと言うと、チームカラーを事前に定めておくことが、ユニフォーム作りにおいては効率の面からも大事だということです。

 
 
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