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はじめての野球ユニフォーム作り
〜スピリットをかたちにする〜

展望編



2013年1月9日(水曜日)
「昇華ユニフォームのゆくえ」

 
昇華ユニフォームは、2010年頃から人気・需要が上がってきました。メーカ各社もキャンペーンやセット商品を展開したりしています。従来の刺繍マーク、圧着マークをおびやかすほどではないようですが、ひとつの選択肢として定着してきた感があります。大きなメリットとして、(1)マーク込みなので割安感がある、(2)ウェア本体に昇華(染色、プリント)されているので軽量・薄手、の2点があります。
しかし残念ながら、(3)昇華なのでデザインが自由、という第3のメリットは、あまり活かされていないようです。自由度が高すぎて、ユーザはなかなか想像力が発揮しづらい。お店・メーカにとっても打ち合わせが面倒だ、という条件面も出てくるからです。
たしかに、たとえばカジュアルのTシャツでも、自由にデザインできますよという商品があったとしても、買う側としてはわざわざ自分でデザインまでして作ろうという機会は少ないかもしれません。それよりは、しっかりしたメーカ・お店側が、すてきなデザインをいくつか用意してくれて、その中から選ぶという形態の方が、本当の需要に応えていそうです。
これまでの特注カラーオーダ・ユニフォームとの差をデザイン面でつけられるか。まったく新しいデザインを作るという選択肢を定着させられるか。昇華ユニフォームの正念場とも言えます。
 
 

2010年4月1日(水曜日)
「逆説の中に進歩」

 
安くて悪い物ではなく、安くて良い物といった逆説に世の中の面白さがあります。野球ユニフォームでもそれはきっと同じ。分かりにくいけれど自由ではなく、選びやすくてオリジナル。納期の融通がきくけど遅い時もあるではなく、早くてしかも安定している。無理そうなことを最初からできないとあきらめるのではなく、チャレンジしてみて進歩させてゆくべき課題と考える。野球ユニフォーム作りの世界にはそんなことがまだまだいっぱいあります。
 
 

2010年3月23日(火曜日)
「メーカ間の役割分担」

 
ひとつのメーカの中でもいろいろなラインナップがあります。同じシャツでも試合用と練習用、定番カラーと別注カラーなど、仕様・品質・価格等によって商品ラインナップがいろいろと展開されています。
しかし、ひとつのメーカの中でありとあらゆるラインナップを展開することはありませんし、おそらく事実上、不可能でしょう。あるメーカは高品質だけど高価なアイテムを得意とし、またあるメーカはたくさんのカラー・ラインナップを持っていることを得意とする等、それぞれのメーカ・ブランドに特色があるものです。
そして、このメーカ毎の特色(ブランディング、セグメント、ポジショニング等も呼ぶ)は、近年よりはっきりと出てくるようになっています。背景はいろいろとあるでしょうが、おそらくは、この豊かで多様な時代においては、メーカは自らの特色をはっきりさせないと、きちんとユーザに選んでもらえないという要因があると思います。
 
 

2010年3月15日(月曜日)
「ユニフォームを買う」

 
ユーザにとって野球ユニフォームを買うとは、ウェアだけを買うものでも、マーキングだけを頼むだけのものでもありません。自分たちのマークが入ったウェアを買う、それがユニフォームを買うということです。これがユニフォーム事業の基本中の基本です。このことを忘れずに、販売店やメーカは、商品企画・案内・販売法・物流・アフタフォロウ等々を考えなければなりません。
 
 

2010年3月12日(金曜日)
「分かりづらいからこそのパッケージ」

 
野球ユニフォーム作りは、自分たちの好み通りに作れるところが魅力ですが、はたして全ての人にとってそう思えるかどうかは別です。いろいろと考えたり、メンバーで調整したりするのは、楽しいと言えば楽しいものですが、苦労も少なくはありません。だから、デザインも価格も品質も納期も、ありとあらゆることがパッケージ化されていて、ひょいと買い物かごに入れるようにユニフォームを購入できる。そういう買い方もありですし、メーカや販売店のサポート義務とも言えます。
 
 

2010年1月5日(火曜日)
「2010年のカラー予想」

 
予想をするだけ本当に無駄ですが、2010年の野球ユニフォーム(のチームカラー)は、ブラックとネイビーとホワイトのカラーが勢力を伸ばすかなと思っています。
しばしば商品のカラーについて言われることですが、好景気の時には重厚なモノクロ系(ブラック、ホワイト、シルバー等)が流行り、不景気の時にはカラフルなものが流行する。これが当てはまれば、あまり景気のよくなりそうもない2010年は(野球用品業界もいろいろと話を聞く限りでは然り)、カラフルな野球ユニフォームが流行りそうではありますが、なんだか2010年は、カラフルにしようとさえする元気もなくて、こぢんまりと落ち着いた色、すなわちブラック、ネイビー、ホワイトにまとまってしまいそうな気がします。
いいじゃないですか、無理に元気を出さなくったって。モノクロになったって。でも、チームのみんなのきもちは大事に。それはいつの時代だってできます。
 
 

2009年11月18日(水曜日)
「パンツは要らない、の先」

 
ここ2年ほどの不景気・消費冷え込みを反映して、野球ユニフォームでも、使えるアイテムは使う、必要最小限だけ買い替えるという動きが目立ってきています。これまではユニフォームを作り替えるとなると、シャツ・キャップ・パンツの3点をいっしょに変えることが多かったのですが、いまはシャツとキャップだけ、あるいはシャツだけといった傾向が増えてきています。各メーカもそれに合わせて、シャツとキャップの2点セットといった商品ラインナップに力を入れつつあります。
逆に言うと、パンツは要らない/売れない時代が来るということです。客単価で3,000〜5,000円下がるという結果が出てきますので、これがメーカや販売店に今後どのような影響を与えてゆくかはポイントです。作り手の経営が厳しくなると、商品ラインナップが減っていったりするからです。
ユニフォーム全体にとってのデザイン・バランスとしては、継続して使うアイテムとの相性をよく考えさえすれば、シャツだけ変えても、シャツ・キャップを変えても、なにも問題ありません。
 
 

2009年11月9日(月曜日)
「もっとマーク書体を増やしましょう!?」

 
メーカカタログに記載されているマーク書体のリストは、ずいぶんと増えています。メジャーリーグの影響、日本プロ球団のたびたびのモデルチェンジが大きいです。各メーカでオリジナル書体も増やすようになってきています。10年ほど前と比べると3〜4倍ぐらいの選択肢です。しかし、実際に注文として人気のあるマーク書体は15種類程度にまとめることができます。その他の書体は年に数えるほどのチームしか選びません。
どこのチームも同じようなマーク書体ではきっとおもしろくないでしょうから、もう少しマーク書体の実際の選択がちらばるとよいかなとも思います。けれど、おそらく、マーク書体の選択肢をいくら増やしても、選択は分散されず、きっと今も人気のある書体に集中したままでしょう。それよりは、各チーム毎にマーク書体をアレンジできるようなオプション・システムを作ってゆく方がよいかもしれません。シャツに自由にライン加工を付けられるように、マーク書体になにかアレンジをするのです。
 
 

2009年9月24日(木曜日)
「いっそのこと3年後にすべて廃番・特注」

 
シャツの種類が近年かなり増えて、当然それらの在庫もふくれあがっているため、メーカは頭をかかえています。解決案としては、もういっそのこと全てのシャツは3年後に、通常在庫としてはラインナップされず、特注・別注で作るという体制にしてしまったらどうか、と思います。下手に在庫をかかえるリスク・コストよりも、早く安く特注シャツを作り上げるシステムを構築してしまった方が合理的ではないかと思えます。抵抗の少ない特注システムであれば、ユーザの理解が十分得られると思います。また、特注システムを中心とすることで、より新しいシャツ種類をどんどん生み出すことができ、その点でもユーザの支持が高まるように思えます。
 
 

2009年9月2日(水曜日)
「手軽にはじめられる服装」

 
野球ユニフォームは、他のスポーツのユニフォームと比べると、いくらか高い部類に属します。いわゆるユニフォーム上下の価格そのものが高く、さらにキャップ、アンダーシャツ、ベルト等の付属品も必要とされます。お金のかかることが、野球をはじめることの障害のひとつになっていると言えなくもありません。また学生の部活動では、なぜか野球部だけが専用の練習着を着て、他の部活動は学校で普段使っているジャージ・運動着ということもままあります。
野球はチームスポーツですから敵味方の区別を付けることは必要ですが、なにかもっと簡単な服装でできないかと思わないこともありません。たとえば、ジャージにビブス(色つきのゼッケン、サッカーの練習でよく見かけるアイテム)を付ければ、野球をするには十分です。ジャージ姿で野球をしても締まらないかもしれませんが、気軽にはじめられるというのは、これからのスポーツにとっては大事かもしれません。フットサルやバスケット3on3等の風景を見ると、そう思う時があります(もちろん本格的なユニフォームをそろえているところ少なくないですが)。
 
 

2009年9月1日(火曜日)
「飽きるのが早い時代」

 
野球ユニフォームにかぎらず、すべての製品や流行に言えることだと思いますが、今は飽きるのが早い時代だと言えます。流行になるのも早いですが、飽きられてしまうのも早い。新しいデザインがどんどん生まれてくることは楽しくもありますが、同時に消えてゆくモデルも多いのです。こうした動き・流れははたして、たえず追加メンバー・制作がかかわる野球ユニフォームにあって馴染めるものか難しいところです。
 
 

2009年8月27日(木曜日)
「プロ野球の衰退と今後」

 
プロ野球は一時のにぎわいがありません。テレビでも試合中継をほとんど見ることがなくなりました。10年ほど前と比べると、びっくりするほどのちがいです。こういう状況は、草野球のユニフォーム作りにどんな影響を与えてゆくものでしょうか。
まず、ひとつ言えるのが、草野球人口の減少(少子化の影響も大きいですが)。カッコイイとされてきたプロ野球選手の活躍を見る機会が減れば、野球人口がますます減り、ユニフォームの需要も減少するでしょう。
さらに、プロ野球を模したユニフォーム・デザインの減少。特に好意をいだく球団がなければ、自分たちが独自にカッコイイと思えるデザインを採用するはずです。あるいは、長い野球経験の中で親しんできた学生野球デザインを採用するチームも増えるかもしれません。
また、プロ球団自体のデザインの変化も挙げられます。より注目を得たいとなれば、主たる外見であるユニフォームのデザインが派手になったり、華美になったりするかもしれません。デザインを変更するサイクルも短くなり、スポンサのロゴ等を付ける機会も増えるでしょう(サッカー・ユニフォームに近くなる?)。そんなデザインの変化に影響されて、草野球ユニフォームも変わってゆくかもしれません。
 
 

2009年8月11日(火曜日)
「メーカをそろえない」

 
ここ10年の野球ユニフォーム作りの動きのひとつとして、(1)シャツ・パンツ・キャップの3点は、チームでそろえるが、その他のウェアは個人で購入する、(2)個人購入のウェアに関してはメーカは問わない、という傾向が増えていることが挙げられます。
背景のひとつは低価格志向であり、必須の3アイテム以外はチームとして購入を義務付けず、個人の金銭負担を軽くしようというねらいがあります。購入の義務がないとなれば、いま使っているアイテムを使い続ける人も多いと思います。もうひとつの背景は、とりわけアンダーシャツを中心に、ここ10年でウェアの高機能化・メーカ毎の差別化が進んでいることです。これを尊重するならば、チームとして全てのアイテムについて仕様を統一せず、個人に選択の自由を与えようと流れになります。この背景2つには不合理なことは特に何もありませんし、今後もずっと続く傾向だと思われます。チーム内でウェアのいくつかはメーカ・仕様がばらばらになってしまいますが、草野球ではそれほどうるさく言われるこもないでしょう(大きな大会等をのぞけば)。
 
 

2009年6月22日(月曜日)
「売れていると分かってから作るメーカ」

 
野球ユニフォームのアイテムは、追加注文に対応できることが、暗黙の前提となっています。そのため、むやみやたらに新製品を出すわけにはいきません。新製品をどんどん出せば、それだけ追加対応の準備=在庫が増えて、メーカの経営を圧迫してしまうからです。
そういう背景もあってか、野球ユニフォームの商品は、売れていると確かに分かってから、メーカが作り出す・ラインナップに加える傾向があるように観察されます。別の言い方をすると「売れるかもしれない」「きっと売れるだろう」「いま売れてるだけかも」というレベルでは製品として登録できないということです。1〜2年たしかに売れているという実績が出てから、ようやくしっかりとラインナップに加わるのです。こういった流れが消極的な方向にはたらけば、新しい製品が出てくるまでには年単位での時間を必要とすることになり、また、小さな価値ある新しい芽を育てることができないとも言えます。これはメーカにとっては経営上の防御策ではありますが、同時に打開策も展開しないと、ダイナミックで魅力ある製品作りができないように思えます。
 
 

2009年4月16日(木曜日)
「ちらりと見えるアクセント」

 
一般のスポーツウェアやカジュアルウェアでは最近、ちらりと見えるアクセントがちょっとしたデザインの流行になっています。たとえば衿裏とか、袖先の裏、あるいはボタンをとめる糸などです。普段は見えなかったり、注意がゆかない場所に、わざとアクセントカラーを取り入れておいて、動きが出た時、じっと見たときに、初めてアクセントカラーが見えるという具合になります。
野球のユニフォームもさまざまなウェアのパーツから成り立ちますから、この隠れたアクセントというのはこれからどんどん増えてゆくかもしれません。取り入れるプロ球団もちらほらと出てきました。
 
 

2009年3月19日(木曜日)
「派手か?」

 
野球のユニフォームで、本人たちがちょっと派手なデザインにしたつもりでも、他のスポーツから見るとまだまだ大人しいなと言えることが多いです。野球ユニフォームはたしかに、伝統的に・歴史的に品位のあるデザインを基調としてきました。それは学生野球だけでなくプロ球団でも同様です。これはこれで今後も大切にしてゆきたい方向性かもしれません。しかし、品位にこだわり過ぎると、いつかは野球ユニフォーム全体に活気がなくなってしまいます。どんなことにでも言えることだと思うのですが、規則・縛りが厳しくなると、息詰まって廃れてしまいます。下品なデザインにするべきだとは決して思いませんが、これまでのデザイン傾向を突き破る何かがあってもよいと思います。
 
 

2009年3月12日(木曜日)
「追加分と流動性」

 
野球ユニフォームでは、新しいメンバーのためにいわゆる追加分に対応しなければなりません。1年で消えてしまうような製品ではユニフォーム足りえないのです。これは野球にかぎらず、すべてのチーム・スポーツに言えることかもしれません。
しかし、この追加分への対応が、デザインの流動性をにぶくしているのも事実です。一般のファッションでは、1年1年デザインが変わり、流行が移ってゆきます。でも、野球ユニフォームでは、アイテムのぜんぶがぜんぶ変わるわけにはゆきません。変わってもおそらく最大5%程度。良いか悪いかは別として、この固定化・低い流動性が野球ユニフォームに与える影響は無視できません。たとえば、もしかすると、だからウェア本体の代わりに、ライン加工やマーク加工が発展・充実してきたのかもしれません。ウェア本体が昨年と同じでも、ライン加工やマーク加工で工夫をすれば、まったく新しいデザインに見えるようにもなります。
 
 

2009年1月14日(水曜日)
「ウェアに欲しい色」

 
現在ほとんどのメーカで採用されていないウェア(とりわけシャツ、キャップ)のカラーで、ぜひラインナップに加えていただきたいのは下記です。
濃いレッド:レッドとエンジはラインナップにありますが、その中間的とも言えるレッドが欲しいところ。意外とプロ球団やメジャー球団で採用しているところもあります。
ピンク、マゼンタ:ラインナップされているメーカもありますが、しっかりと需要のあるこの2色はぜひ。
ゴールド:濃い黄色ではなく金の方のゴールドです。照り・輝きは入れにくいと思いますので、黄土色に近くなるかもしれません。ラインやパイピングにはゴールドがありますが、シャツ生地等にはなかなかありません。
ケリーグリーン:いわゆる黄緑色です。グリーンとの相性が言いのはもちろんですが、イエロー系やブルー系との組み合わせも期待大。アクセント部分にぜひ採用してみたいです。
こげ茶:はっきり言って、需要は皆無かもしれませんが、アイボリィやオレンジとの相性が良さそう。意外と高級感が出せそうです。
薄いグレーと濃いグレー:グレーはもちろんラインナップされていますが、しっかりと薄い、あるいは反対に濃いグレーというのはなかなかありません。いわゆるシルバーグレー、チャコールグレーもぜひ欲しいです。
 
 

2008年12月17日(水曜日)
「あの手この手の副産物」

 
野球ユニフォームに限らず他の多くの製品・サービスでも言えることですが、日本での商売というのは年々縮小傾向にあります(主として高齢化社会、人口減少のため)。今までの売上げを維持したいと思っているメーカや販売店ならばまず考えてしまうことの1つは、一人のお客様にできるだけたくさん買っていただくことです。あの手この手でいろいろな商品を考えて売ったり、付加サービス等をつけて客単価を上げようとします。
お客の立場としては「うっとぉしいなぁ」と感じることも少なくないかもしれません。しかし時として副産物も生まれます。今までそれほど多くの需要がなくて製品化されていなかったり、ラインナップになかったりしたものが、商品・サービスとして出てくることがあるのです。お客の立場からすると「ようやく買えるようになったよ」と思ってしまうものですが、かゆい所に手が届くようなうれしさもあります。
野球ユニフォームの世界で言えば、近年は対応カラー(とりわけ定番品での対応カラー)が増えています。全体の需要が少なくなっているのですから人気のないカラーはどんどん削減されるかと思いきや、その人気のないカラーの注文も取りのがすわけにはゆかないというわけです。それから、いわゆるアクセサリィ(ソックスやリストバンド等)やセカンダリィウェア、トレーニング・アイテムのラインナップも増えています。試合用だけでなく、練習・アップのシーンにも注目が集まっています。
 
 

2008年11月5日(水曜日)
「即納と公平性」

 
時間を短縮するということには価値があり、そのためには費用がかかる、というのは一般的です。たとえば高速道路や鉄道の特急、宅配便の翌日必着便を想像してください。通常料金の何割か増しで時間を買うことができます。
同時に、順番を守るということにも価値があります。列に並んでいるときに横から割り込まれたら怒っても当然と言える社会が成立しています。
現在、野球ユニフォームの納期については「オプション料金を支払った上での即納・納期短縮」というシステムを実施しているところはほとんどありません。世間一般からすると、そういう制度があってもよいのかなあとは思います。
しかし同時に、そういう制度は列に割り込むという非公平な面があるのも否めません。もしオプション料金をいただいてもできることと言えば、順番を変えてすぐに製造・加工にあたるか、あるいは、残業して新たに製造・加工時間を作るかのいずれかです。どちらにしても、その分の時間を、他のチーム分の製造・加工よりも優先させているわけです。
理想を言えば、業界全体の生産スピード基盤をどんどん早めるというのが摩擦が少ないかもしれません。
 
 

2008年10月30日(木曜日)
「デザインの多様化が強いるもの」

 
野球ユニフォームのデザインはどんどん多様化してきています。メーカや販売店にはどのような変化がおとずれるでしょうか?
メーカはたくさんのラインナップをそろえることになりますが、定番品・既製品として在庫をもつには限りが出てきます。在庫をもたず、しかも需要に応える。そのためには生産スピードが鍵になってきます。注文が入ったら、すぐに作って納品するのが理想です。いま現在、受注生産への対応スピードがないメーカは、今後の野球ユニフォーム作りで厳しい環境におかれてゆくかもしれません。
多様化するといっても、どれくらいのデザインになるものでしょうか? 100デザインでしょうか、1,000デザインでしょうか? それとも万・億の単位が必要でしょうか? きっと100デザインでもユーザは迷ってしまいます。選択肢が多すぎて迷う時代がこれからくるかもしれません。そんなユーザに寄り添って適切にサポート・アドヴァイスができること、それが販売店にいっそう求められてくるように思います。
 
 

2008年10月17日(金曜日)
「多様化の時代」

 
2001年から2年ほどの野球ユニフォーム作り。新しく作るデザインは、感覚的に10チーム中3チームぐらいはメジャーリーグ・アメリカ西海岸の某チームを基本としたものでした。気持ちは分からなくなく、また注文ですから黙って作りますが、「こんなにみんな同じデザインで本当にいいの?」とちょっと心配したものです。
その後、草野球のユニフォーム・デザインはいくつかのブームをむかえましたが、つづいても数ヶ月間だけのものとなっています。プロ野球のユニフォーム・デザインもどんどん多様化しています。プロ球団にとらわれない気風も伸びています。もう以前のように、たった1〜2つのデザインに偏って制作する・注文が入ることはないのだなと思います。みんながそれぞれ好きなデザインを選べばいい。あるいは好き好きに選べるような素地ができてきた。まだまだ野球ユニフォームの世界は広がってゆきそうです。
 
 

2008年10月16日(木曜日)
「希望はいつかかなうかも」

 
秋が深まってくると、野球ユニフォームにも来年の新しいラインナップの話が出てきます。その時のひとつの楽しみが、今までできなかったもの、なかったものが作れるようになるというものです。販売店からメーカへは折りにふれて、ユーザ様からの要望・需要を伝えていますが、それが形になるときは殊更うれしいものです。翌年すぐに結果が出なくても、数年して忘れた頃に実って返ってきてもうれしいものです。
それには極々ささいなことも多く、たとえば近年では、カラーソックスやベルトに需要増加中のグリーン色やエンジ色が選べるようになるだとか、人気のあるシルエットの帽子でフリーサイズだけだったのがサイズ物になるだとか、珍しい番号書体が増えるとか、そうした「ダメなら、別に他でもいいんじゃない。そんなにこだわらなくてもいいよね!?」というような事柄が素直にできるようことも含まれます。もちろん小さな事柄に見えても、メーカ側にとっては製造・在庫の悩みの種かもしれません。しかし、できるようになったということは、そうした諸々の問題をクリアしたからだと見ることができます。本当に少しずつでも野球ユニフォーム作りがもっと豊かになることを祈ってやみません。
 
 

2008年10月14日(火曜日)
「ウェアとマークの境がなくなる」

 
野球ユニフォームを考えるときに、ウェアとマークを分けて考えるのは手法のひとつです。一般的に、ウェアは野球用品メーカ毎にラインナップが異なっていて、マークはプロ球団を基本としたものになっており、それぞれ別の性質・成り立ちを持っています。こうした状況においては、(1)ベースとなるウェアを定め、(2)次にマークをのせてゆく、という思考法をとることが多いと思います。プロ球団やカタログのスタイルを基準とするときでも、やはり、まずはどのウェアが良いかをしぼり、次にマークをアレンジするという考案法をとっているように観察されます。
近年、コンビネーションシャツや特注シャツ、あるいは別注ライン、特注キャップ、パンツの選択肢等々が増えています。マーク書体・加工法もいっそう多様になってきました。これらの組み合わせは多種多様にわたり、ユニフォーム・デザインのあり方をどんどん更新しています。「ウェアはこういう物だから云々」「マークはこうあるべきだ云々」という常識にとらわれていると、対応できない(というより拒否反応をおこす)ことになってしまいます。
こうした流動的な傾向からユニフォーム作りをかえりみると、ウェア(のパーツ)も、マークも、すべてユニフォームを飾りつけるものだと見ることができるようになります。それぞれが単なるユニフォームの構成パーツに過ぎないとも言えます。ここで言いたいことは「だからユニフォーム全体をひとつのスタイルとして見るべきだ」ではありません(このことももちろん言えますが)。この考えから引き出せるアイデアは極々あたりまえのことから、これからのユニフォームにとって革新的なことまで、たくさんあるような予感がします。
 
 

2008年5月21日(水曜日)
「5月の風物詩」

 
プロ野球ではこの時期、交流戦が始まります。この期間のためだけに特別なユニフォームをわざわざ設けるチームも年々増えています。デザインは豪華なものや奇抜なもの、特注でも対応できないものが多く、そのまま草野球のユニフォームに取り入れるのは難しいです。しかし「あっ」と思わせるヒントもあります。
もうひとつ思うことは、草野球チームでセカンドシャツあるいはセカンドキャップを持つことがこれから増えるのではないかということです。一般に、予算(おこづかい・笑)の都合で、草野球チームでは1つのユニフォームしか持っていません。けれど、こうして様々なユニフォームを目にすると、別のデザインも欲しくなるのが人の感情。プロ同様に球場やイベント、季節に応じてユニフォームを変えられた、もっと楽しくなるかもしれませんね。
 
 

2008年5月15日(木曜日)
「天邪鬼的多様性」

 
これだけコンビネーション・シャツを採用するチームが増えてくると、「ウチも作り替えるときはそうしようか、でも、どうせ変えるなら他のチームとちがう風にしてみよう」という声が挙がってきます。
反対に、周りがコンビネーション・シャツだらけなので、意図的に単色シャツにするチームも出てきます。
こうした天邪鬼的な動きは、シャツのかたちだけでなく、チームカラーやマーク書体についても見られるように思います。他と一緒になりたがらないのが、野球ユニフォームのデザインに多様性を生みつづけているように思います。
他の製品ではしばしば、「売れているから」という理由で、他社のデザインを真似ることが見られますが、野球ユニフォームではたとえメーカ間が画一的になっても、ユーザ・レベルであっさりくつがえされるというダイナミックさがあるように思います。
 
 

2008年5月9日(金曜日)
「崩れゆくスペシャルセット」

 
『レワード・バリューセット』や『デサント・クイック100』などのスペシャルセットは、良くも悪くも、その寿命の最期に来ているように思います(少なくとも成長期がおわった)。
というのは次のような兆候が見られるからです。(1)各メーカがそろってスペシャルセットを販売している。(2)メーカ間でセット内容の真似が増え、価格競争の面が強くなった(場合によっては低価格に設定するため質も下げている)。(3)原材料等の価格が高騰しており、さらなるプライスダウンができないばかりか、現状価格の維持も難しい。(4)選べる種類が増えすぎて、通常のユニフォーム作りとあまり変わらない。
メーカの売り出すセットがスペシャルであることに、たいせつな意味はありません。各チームの野球ユニフォームが特別であることに意味がある、そこに立ち帰ってみる時期なのかもしれません。
 
 

2008年5月1日(木曜日)
「背景がある」

 
カタログでも打合せでも、これから考えるべきことのひとつは、真っ白い背景を使っていることです。ある意味分かりやすいですし、画像を用意しやすいのですが、現実的ではありません。
野球ユニフォームの背景にふさわしいのは、やはりグラウンド。土があり、芝があり、空がある。ベースがあり、フェンスがあり、ラインがある。そういう背景の中でユニフォームを見ると、またちがった印象になるはずです。(背景付きの映像を想像すればいいんですが、できる人は少ないでしょう)
 
 

2008年4月11日(金曜日)
「安いブランドは死ぬ」

 
安さを売り物にしているブランドで長く生き残るものは無いのではないかと思います。ブランドの価値は本質的に価格にはないのです。
野球ユニフォームは、名の知れたメーカ品かどうかの違いはありますが、一般的な意味でのブランド品ではありません。けれど、やはりブランド的な志向をもっているかどうかが、そのメーカの未来にかかわるように思います。ここ10年ほどは、価格をどれだけ安く設定できるかが、主要なポイントのひとつでしたが、もうそろそろ方向転換が必要になってきたと思っています。では、価格ではなく何を追及するのか。一番ありそうな答えは「機能」あるいは「自由度・カスタマイズ性」ですが、どうもそれだけではないように思います。
たとえば、自動車で考えてみます。性能が良く、故障もほとんどなく、デザインや価格も満足ゆく車種(またはメーカ)があったとして、果たしてそれだけでブランドになりえるでしょうか?
たとえば、コンピュータで考えてみます。自分の好きなようにパーツや機能を設定でき、価格も高くなく、納期も早い。それだけでは一流メーカ品ではあっても、ブランド品と呼べるでしょうか?
 
 

2008年4月10日(木曜日)
「定番品にない」

 
シャツやキャップで、ユーザ様の希望通りのアイテムが定番品にない、ということが近年増えているように思います。しかも、「素材は良いんだが、シルエットがどうも...」とか「形はこれでいいんだけど、欲しいカラーが定番カラーにない」といった、微妙な外れ方をしているように思います。
ラインナップが充実していない、メーカの選択眼がよくない、という風に見ることもできるかもしれませんが、おそらく違うと思います。やはり定番品というのは、吟味してみれば、大方のユーザの志向に合っているように観察されます。
では、なぜ微妙な差が生じるのでしょうか? おそらくは、定番品=人気商品に対する抵抗があると思います。人気商品だから確かに質もデザインも良いのですが、それを選べば他のチームと同じになってしまう。それは嫌だ。そこで、定番品に、自分たちが元々持っている好みをちょっとだけ付け加えれば、質もデザインもオリジナル性も満たせる。そんなオリジナルに対する潜在的な傾向が、年々強くなっているのではと思います。
 
 

2008年2月21日(木曜日)
「受注生産の名のもとに」

 
野球ユニフォームは、チーム様毎の受注生産品です。チーム名がそれぞれ、サイズや背番号も選手それぞれである以上、これは事実です。
しかし受注生産という名のもとに、甘えてきた面が販売店やメーカ側には少なからずあると日々反省しています。最たるものは価格と納期です。「受注生産だから高い」「チーム毎に個別見積」「日数がかかってあたり前」などなど。
「受注生産だからって屈してたまるか!」という粋な心意気で制作にあたりたいものですが、壁あり谷ありもまた事実です(またまた反省)。
 
 

2008年1月30日(水曜日)
「これほど手間のかかるものも少ない」

 
野球ユニフォーム作りは、本当に手間がかかります。それを楽しいと思うか、苦と思うかは別としてです。特注・別注品だけでなく、既製品をベースにしても決める項目は多いです。
どんな商品についてもきっと当てはまると思いますが、細かく色々な点を自由に決められることがベストだとは限りません。製品として無限の組み合わせ方が可能だとしても、それではユーザにとっては判断の迷いにつながり、販売店やメーカにとっては説明の煩雑さにつながります。ある程度パッケージ化、システム化することが、逆に製品の魅力を引き出すことも多々あります。
近年、スペシャルセット(レワード『バリューセット』やデサント『Quick100』等)が大いに伸びました。これらは選択できる項目がとても限られていますが、反対から見れば、検討・発注する際に手間がかからないという魅力があります。
オリジナル野球ユニフォーム作りというのは、自由に組み合わせられるということだけではなく、スムーズに(しかもレベルを落とさずに)制作に臨めることも目指す必要があると思います。
 
 

2007年12月5日(水曜日)
「2008年カタログを見て」

 
各メーカさんの2008年カタログの見本を拝見しました。「売れそうなデザインのユニフォームがたくさん載っているなあ」というのが一番最初に思ったことです。ここ1〜2年で人気の高まった新しいデザインを例年以上にきっちり押さえてありました。
でも「これって危ないよな」とも考え浮かんでいます。売れる(売れた)ユニフォーム=メンバーみんなが喜ぶユニフォームじゃない、と感じ始めています。
くさいセリフで言えば(笑)、押し売りのかっこいいユニフォームはいらない。作りたいのは、自分たちらしいユニフォームだ、ということです。もちろんそんなものがカタログに載っているとは、ユーザの皆さんも期待していないと思います。カタログに載っているのはあくまでもデザイン例に過ぎない、考えはじめるときの参考に過ぎない、と。でも、だからこそカタログには、ユニフォーム作りの基本に立ち帰るような何かを、チームとユニフォームとの関係に投げかける何かを期待したいです。
各メーカさんを批判するつもりはありません。自戒の思いから。

 
 
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