2010年4月30日(金曜日) 「頭で見るな、ただ見よ」 野球ユニフォームのデザインにも、デザイン一般の多くの理論・法則があてはまります。たいていの場合、めちゃくちゃに考案するよりも、デザインの基本に則って作った方が上手くゆきます。しかし、やはり机上のものは机上のもの。実際に上手くいかないこともあります。ユニフォームを頭だけで見ると、活き活きとしたものが生まれてきません。時に法則通りだからこそ、かっこわるくなるということもあります。ただデザインとしてユニフォームを見る。 2010年4月27日(火曜日) 「欠点は尖り、長所は出る杭」 たとえば赤色は、目をひく強烈な色ですが、強烈過ぎると映ることも多く、メインのチームカラーとして採用するチームはそれほど多くはありません。強烈過ぎることが赤の欠点なのです。しかしこの欠点を突き詰めてゆくと、そこに赤のすばらしさが出てきます。レッドにはホワイトがよく似合いますが、これは単にレッドの強烈さを和らげるというだけでなく、より一層レッドを引き立てるからこそ、よく似合う色の組み合わせであるわけです。 たとえば黒色は、落ち着いた力強さを感じさせ、多くのチームに好まれていますが、黒黒黒としてしまうと、単に黒の悪い意味での暗さが出てしまいます。長所を長所だからといって前面に押し出せばよいというものでもありません。黒が黒としての本来の力を発揮するためには、黒を中心に据えつつも、ホワイトやグレー、イエロー、レッド等でその脇をしっかりとそろえることも大切なのです。 たとえば鋭い筆致のロゴマークを採用した時、そのシャープ感を活かすためにはどうしたらよいでしょうか。他のマークやウェアはシンプルにまとめて、ロゴマークを際だたせる。それもありでしょう。あるいは、他の箇所も同じようにシャープ感を強めて、それらの方向性がよりいっそうロゴマークに集中するようにする。それもありでしょう。 2010年4月26日(月曜日) 「比較してはいけない赤」 チームカラーが決まっていない時、いろいろな配色パターンを考えますが、サブカラーの候補として赤を入れると、その赤がサブカラーに決まってしまう可能性がとても高くなります。たとえば、メインカラーがブラックで、サブカラーの組み合わせとしてブラック*レッド、ブラック*イエロー、ブラック*ホワイト、ブラック*グレー、ブラック*ブルーと置くと、強烈に目を引く・印象に残るのはやはりブラック*レッドなのです。単なる配色の強さで決めてしまうと、他の色では赤に勝てません。たとえばチームコンセプトがサンダー・雷だというならば、ここはやはりブラック*イエローでまとめたいところですが、軽い気持ちで「ちょっとブラック*イエロー*レッドも試してみるか」と見比べてしまうと、赤が割り込んで住み着いてしまう可能性は高いです。 2010年4月23日(金曜日) 「真のツートン」 ツートンとは2色。野球ユニフォームの場合、たいていパンツはホワイトかグレーを基調とします。そのため真にツートンであるためには、このホワイト・グレートの組み合わせが必要です。たとえば、ブラックにとっては、ブラック*ホワイト、ブラック*グレーだけが現実的なツートンです。チームカラーがブラック*イエローとして、ウェアもマークもこのブラック*イエローの配色でまとめれば、たしかにパンツのホワイト色はチームカラーとしてカウントされませんが、ユニフォーム全体の配色をただただ見た場合、ブラック*イエロー*ホワイトのトリコロールです。 2010年4月21日(水曜日) 「赤は本当に強い」 赤色というのは本当に人の目を引く色です。ほんのちょっとだけでも、「いや、ほんのちょっとだからこそ」という働きをしてしまうのが、赤です。野球ユニフォームにおいても、チームカラーの中に赤が入っていない場合、ほんの1箇所でも赤を使うべきではありません。たとえベルトだけでも、あるいはマークの影部分だけでも、帽子のツバ先の縁部分だけでも、赤が使われてしまうと、そのユニフォームにとって、チームにとって重要な意味を持つものと受け取られます。 2010年4月20日(火曜日) 「ロゴマークで表現しよう」 野球ユニフォームというとシャツやキャップが主役のようにも見えますが、それは面積が多いだけ。ロゴマークこそがチームの第一の象徴です。もちろんロゴマークとウェアとの一体感も大切ですが、どちらが主で副であるべきかとなると、やはりロゴマークが主です。ロゴマークを中心に、ウェアも、あるいはワッペンも形作られていくのが王道と言えます。ロゴマークに形も色も思いも表現しよう。 だから、たとえば、ウェアのカラーにピンク色がないことは多いですが、それでもよいのです。ロゴマークでならば、技術的にきちんと表現できますし、またそうすべきなのです。 2010年4月19日(月曜日) 「未来は今」 これから作る野球ユニフォームは、これから未来において着るものです。今チームの状態が、雰囲気が、目標が、あるいは金銭状況がどのようなものか、見極めることがたいせつです。今のチームに合わないものでもいけない、かといってまったく同じでも未来での向上がなく、無理に望んでもなじまない。今この瞬間どんなユニフォームがあったら、チームのみんなが喜んでくれるだろう。 2010年4月9日(金曜日) 「小文字のないマーク書体」 マーク書体の中には、英語の小文字をもたないものがあります。基本的にすべての文字を大文字にするのです。もちろんどんな書体も人が作ったものですから、大文字のデザインから類推して、小文字を創作することもできます。ただし、もともとのマーク書体よりも手間暇がかかるので、プラス料金が発生する場合も出てきます。 2010年4月8日(木曜日) 「花畑、枯山水、青空」 美には、花畑のように華のあるものもあれば、枯山水のように寂のうちに現れるものもあり、青空のようにただそれだけで胸をうつものもあります。野球ユニフォームの格好良さもまた同じ。豪華にするもよし、シンプルにするもよし、ストレートにするもよし。 2010年4月7日(水曜日) 「王道の強さ」 野球ユニフォームのデザインにも王道があります。ここ10年ほど常に人気トップ10に入り続けるようなデザインもあります。王道が王道たる由縁は、たしかにデザインとしての素晴らしさがあります。それだけでなく、そのデザインを確固として採用した・しているという自信もみなぎっています。 2010年4月6日(火曜日) 「新しい型」 型は既存のもの。型である以上、ある種の完成。しかし既存のものは、平凡と見られ、あきられ、避けられる。 よく採用される野球ユニフォームのスタイルやマーク書体。たしかにそれらはかっこよくて、野球ユニフォームらしい。けれど、どこのチームも採用するようだと、どうも面白くはない。自分たちのチームらしさがない。そんな風にも感じる。 新しいけれど完成されたもの。未知の型。 2010年4月5日(月曜日) 「つながっているようで別?」 野球ユニフォームを作るということと、野球ユニフォームそのものとはまったく別ものかもしれません。片方は行為、もう片方は物。もちろん野球というプレイともまたちがうでしょう。語るもの、見るもの、着るもの、感じるもの、知るもの。野球が上手くなくても、野球ユニフォーム作りでは詳しいかもしれません。野球ユニフォームについて知らなくても、野球が上手いかもしれません。野球が下手で野球ユニフォームについて興味がなくてもなぜか良い野球ユニフォームが作れてしまうかもしれません。 2010年4月2日(金曜日) 「お弁当箱とフランス料理」 お弁当箱にはぎっしりごはん・おかずが詰まっていて欲しいものです。フランス料理は真っ白なお皿に量はちょぴりだけ、優雅に盛りつけられているものです。内容が濃いとはどういうことか、空間をうまく使えるかどうか。美、質、形、道。野球ユニフォーム作りでもきっと同じ。 2010年4月1日(木曜日) 「逆説の中に進歩」 安くて悪い物ではなく、安くて良い物といった逆説に世の中の面白さがあります。野球ユニフォームでもそれはきっと同じ。分かりにくいけれど自由ではなく、選びやすくてオリジナル。納期の融通がきくけど遅い時もあるではなく、早くてしかも安定している。無理そうなことを最初からできないとあきらめるのではなく、チャレンジしてみて進歩させてゆくべき課題と考える。野球ユニフォーム作りの世界にはそんなことがまだまだいっぱいあります。 |