2009年8月31日(月曜日) 「廃れないシャツはない」 現在、単色シャツよりも、コンビネーションシャツ(切替シャツ)の方が優勢ですが、コンビネーションシャツを採用する場合に覚えておきたいことは、廃れないデザインは無いということです。一般のファッション(あるいは全ての製品)同様に、どんなに人気があってもモデルチェンジという波は避けて通れません。たしかに人気のあるシャツデザインであるならば、10年近くラインナップされます。しかし、10年も経つと、そのデザインを採用するプロ球団はなく、新たに採用する草野球チームも年々減っていっているはずです。いつかどこかでそのシャツは廃番となる可能性があります。 2009年8月28日(金曜日) 「後から変えられないチーム名」 野球ユニフォームは数年に1回変えることができます。しかし、通常、チーム名を変更することはありません。もしこれからチームを立ち上げるという場合には、ユニフォーム以前にもっと重要なのがチーム名だと言えます。そして、もし余裕があれば、そのチーム名から生まれるであろう、いろいろなユニフォーム・パターンも考えてみてください。チーム名に「レッド」が入っていれば、今後ずっと、グリーン色をユニフォームに採用することはまずないでしょう。動物名が入っていれば、その動物をイメージするようなロゴ、あるいはワッペンを採用することになります。浮かんだデザインに、なんとなくしっくりこなければ、チーム名を変えるのは、今この立ち上げの瞬間にしかありません。 2009年8月27日(木曜日) 「プロ野球の衰退と今後」 プロ野球は一時のにぎわいがありません。テレビでも試合中継をほとんど見ることがなくなりました。10年ほど前と比べると、びっくりするほどのちがいです。こういう状況は、草野球のユニフォーム作りにどんな影響を与えてゆくものでしょうか。 まず、ひとつ言えるのが、草野球人口の減少(少子化の影響も大きいですが)。カッコイイとされてきたプロ野球選手の活躍を見る機会が減れば、野球人口がますます減り、ユニフォームの需要も減少するでしょう。 さらに、プロ野球を模したユニフォーム・デザインの減少。特に好意をいだく球団がなければ、自分たちが独自にカッコイイと思えるデザインを採用するはずです。あるいは、長い野球経験の中で親しんできた学生野球デザインを採用するチームも増えるかもしれません。 また、プロ球団自体のデザインの変化も挙げられます。より注目を得たいとなれば、主たる外見であるユニフォームのデザインが派手になったり、華美になったりするかもしれません。デザインを変更するサイクルも短くなり、スポンサのロゴ等を付ける機会も増えるでしょう(サッカー・ユニフォームに近くなる?)。そんなデザインの変化に影響されて、草野球ユニフォームも変わってゆくかもしれません。 2009年8月26日(水曜日) 「期待をうわまわるものを作れるか」 野球ユニフォーム作りは、メンバーや販売店と事前に打ち合わせます。打ち合わせるなかで、デザインや金額がにつまってゆき、新しいユニフォームに対する期待もおおいに高まります。納品直前こそ、期待度が一番高いかもしれません。しかし最近は、カタログ内容が充実したり、事前のイメージ確認も進んでいますから、打ち合わせ内容と納品された完成ユニフォームとに大きな相違というものはありません。事前の期待度をうわまわる感激を納品時にもたらすことができるかというと、それは難しい課題になります。期待通りの物が納品されて当然という状況なわけです。 発想を転換してみましょう。設計図と完成品が同じであることは当たり前。そのことに必要以上の期待をかけても意味がない。むしろ、どれだけ素晴らしい設計図を作れるのかが、野球ユニフォーム作りではポイント。 2009年8月25日(火曜日) 「若い未来に引き継ぐ」 草野球チームの寿命はいったいどれくらいでしょうか。長いチームでは30年前後活動しているところもあるようですが、10年前後というチームが多いのではないでしょうか。さて、10年経てば、設立時20歳だった人は30歳に、35歳だった人は45歳になっています。歳をとれば、一般の服装同様に、野球ユニフォームにたいする好みも変わってきていると思います。おそらく、どちらかと言えば、過激なものよりも落ち着いたデザインのものを好む傾向が出てくるように思います。もしその今の好みを押し出してしまえば、チームのユニフォームが大人しくまとまります。悪く言えば、おじさん風に、良く言えば、歳相応のものにまとまるということです。チームのメンバーがみな同じような年齢ならば、年に応じたデザインの好みに大きなずれはないでしょう。しかし、これから若い世代のメンバーを加えたいと思うならば、若い世代の好みというのもユニフォーム作りに大いに反映させる必要があります。若い世代に響くものがなければ、彼らの加入もありえません(まあユニフォームのデザインにそこまでの影響力はないでしょうが)。どんな集団にでも言えることですが、若いメンバーが入ってこないと、集団は世代を超えて生き続けることができないのです。 2009年8月24日(月曜日) 「早くて損はしない」 野球ユニフォーム作りは、1年の中に需要の波があります。春と秋が混み合うひとつの季節ですが、その中にもまた波があります。そういう波の中に入ってしまうと、もうどうにも納期の融通はききません。打ち合わせ、見積もり依頼、サイズ合わせなど、早く始めてしまって損することは何もありません。スケジュールに余裕がありすぎたよなぁぐらいで、本当にちょうどよいのです。 唯一、注意するのは11月頃だけ。新しいカタログ、新製品が出るか出ないかの頃なので、ここだけは12月か年明けまで待ってもよさそうです(とはいえ、チーム内での地固めはできる)。 2009年8月21日(金曜日) 「学生野球デザインのこだわり度」 学生野球のユニフォームのデザインはシンプルですので(単色のシャツ・パンツ・キャップに、1色マークであることが多い)、基本的には草野球チームでも真似て採用することができます。ただし、表面的にはシンプルに見えても、意外と各学校のこだわりもあったりします。ストッキングが分かりやすい例ですが、他にも、帽子の天ボタンだけ別色になっていたり、特別な立衿が付いていたり、ほんのちょっとだけ濃いグレー生地を採用していたり、シャツが2ボタンではなく1ボタンだったり、パンツのシルエットが独特だったりします。そんな小さなこだわりまで真似なくても十分雰囲気を出すことができますが、どうにもそこまでこだわらないとその学校の良さが出ない時もあります。 2009年8月20日(木曜日) 「こだわりが活きるシンプルさ」 デザインに対するこだわりがより活きてくるのは、それ以外の特徴がよりシンプルである時です。たとえばマーク配色にこだわって、とてもユニークなロゴマーク色にしたとしても、ベースとなるシャツ本体が華美であれば、せっかくのこだわりのマーク配色も存在感がうすれてしまいます。こういう時は、思いきって真っ白のシャツでライン加工も付けずにおいた方が、マーク配色が映えてきます。もちろん物事には相乗効果というものがありますから、こだわり*こだわりでより大きななにかを表現できる場合もあります。しかし、組み合わせる要素が増えれば増えるほど、出来上がりの印象を予測しづらくなる(少なくとも膨大に考える必要が出てくる)ものです。こだわりのポイントがあるならば、その他はシンプルにする、これが手法のひとつです。 2009年8月19日(水曜日) 「分らないほど玄人好み」 誰が見ても、遠くから見ても、分かるようなデザイン上の特徴は、ある意味で玄人好みではありません。分かるということは、受け入れやすい・流行りやすいということにつながります。これはこれで大切な要素です。メンバーの多くの合意を取り付けたいという時には欠かせません。しかし、流行っているものをいくら誇っても玄人の目をもっているとは言えません。 流行っているものを好まないというのが玄人の基本的なスタンス。かといって、玄人の好みは、マイナーで役に立たずカッコ悪くあってもいけません。分かりづらいような点にこだわって、はじめて成し遂げられるようなデザインの魅力。そいういうものに目を付けることができるのが玄人の視線です。 たとえばシャツの立衿。最近の草野球ユニフォームではほとんど見かけませんが、その立衿を付けることによってしか、そのチームのデザイン上の魅力が生まれないという場合があります(たんに立衿を付けるのが玄人的でカッコイイと言っているわけではありません)。立衿など、遠くから見ればわかりませんし、近くで見ても気づかない人が少なくないでしょう。たとえ一度気がついたとしても、そのあともずっと目を引かれるわけではありません。しかし、もしその立衿がなければ、そのユニフォームにはある種の魅力(高貴さ、学生野球ぽさ等々)が生まれていないのも事実なのです。その魅力こそがチームにとって大事だという場合があるのです(でもメンバーの多くを説得するのはたいへん難しい)。 2009年8月18日(火曜日) 「目にふれるものが流行る」 夏は高校野球の季節ですが、草野球ユニフォームのお問い合わせでも、学生野球の、とりわけ有名高校のデザインに関するものが増えます。また、日本やアメリカのプロ野球オールスターゲームの前後では、有名なチームから、あまり知られていないチームまで、やはりお問い合わせがいつもより増えます。オリンピック等の国際大会が開催されると、またそれらのユニフォームが流行ります。 大きな大会・試合があると、今まで目にふれなかったユニフォームにも注目が集まって、また彼らの活躍にも鼓舞されて、ユニフォーム作りが盛り上がるようです。 2009年8月11日(火曜日) 「メーカをそろえない」 ここ10年の野球ユニフォーム作りの動きのひとつとして、(1)シャツ・パンツ・キャップの3点は、チームでそろえるが、その他のウェアは個人で購入する、(2)個人購入のウェアに関してはメーカは問わない、という傾向が増えていることが挙げられます。 背景のひとつは低価格志向であり、必須の3アイテム以外はチームとして購入を義務付けず、個人の金銭負担を軽くしようというねらいがあります。購入の義務がないとなれば、いま使っているアイテムを使い続ける人も多いと思います。もうひとつの背景は、とりわけアンダーシャツを中心に、ここ10年でウェアの高機能化・メーカ毎の差別化が進んでいることです。これを尊重するならば、チームとして全てのアイテムについて仕様を統一せず、個人に選択の自由を与えようと流れになります。この背景2つには不合理なことは特に何もありませんし、今後もずっと続く傾向だと思われます。チーム内でウェアのいくつかはメーカ・仕様がばらばらになってしまいますが、草野球ではそれほどうるさく言われるこもないでしょう(大きな大会等をのぞけば)。 2009年8月10日(月曜日) 「追加注文に求めるもの」 新しいメンバーが加わったときに、当然ユニフォームを作るわけですが、その追加注文に求めるものは何でしょうか? デザインや仕様は、初回の時と同じ。変えることはありません。あと求めるものは「早さ」、できるだけ早く届けて欲しいということです。ユニフォームがなければ、新しいメンバーも試合に出られませんから、切実な事柄です。 ただ納期というのも、実はそれほど初回の時と変わりありません。もし初回の時に、特注・別注で4週間かかってしたとしたら、追加注文でも(たとえ1着でも)4週間かかってしまいます。追加注文のことまで考える必要はないのかもしれませんが、納期も仕様の一部だと考えてみて、早い納期にこだわってみるのもよいかもしれません。 2009年8月7日(金曜日) 「好みの先なのか」 見た目のデザインに集中してしまうと、あまりよくありません。デザインは良し悪しではなく好き嫌いの事柄であるので、野球ユニフォームのように複数の人間が集まれば、好みの完全な一致など得られないからです。 しかし全員が一致しなければならないのは、チームのあり方。そのあり方を体現するデザインとして、どれが相応しいデザインかを選ぶ。しかしまた、どれが相応しいデザインかの正解もありません。 2009年8月6日(木曜日) 「直前に集金できない」 野球ユニフォーム作りは、チーム毎の受注生産品ですので、お店への支払いは前払いであることが多いです。1チームの注文は十数万円から数十万円になりますので、個人ではなかなかすぐに用意できる金額ではなく、全額を立て替えるのは難しいです。かといってお店への支払が滞れば、完成ユニフォームの納品日に響いてきてしまいます。 しかし個々のメンバーからユニフォーム代を集金するのも、なかなか大変な作業です。メンバー構成や集まり具合にもよりますが、1週間程度ではきちんと集金できない場合も少なくありません。やはり、ユニフォーム作りが決まった時点で一定額の集金を始めておくか、あるいは今からすぐに毎月の積立をするのが安全です。 2009年8月5日(水曜日) 「素材によって色合いはちがう」 素材によって同じ名前で呼ばれる色であっても、色合いはちがっています。素材には色のりの良いもの・発色のよいものとそうでないものがあり、また表面の凹凸や光沢感等によっても色の見え方は変わってくるものです。同じ色合いにそろえようとしても、異なる素材同士ではどうしてもそろえられないことが出てくるのです。たとえば、帽子のナイロンメッシュ素材は、一般的に発色がよくありません。どのカラーでもおおむねくすんだように見える傾向がありますので、たとえばレッドは明るいレッドではなくやや茶色寄りに見えます。同じブラックでも、サテン素材とニット素材ではまったく別の雰囲気になってきます。 素材による色のちがいを逆手にとることもできます。一般にウェアとマークでは素材がちがいますから、ウェアがホワイト色で、かつマークがホワイト色でもあったとしても、文字を判読できなくはないのです(これは極端な例ですが)。ウェア=ホワイト色、マーク=ブラック文字*ホワイト縁という組み合わせでは、マークのホワイト縁は意味がないわけではなく、それなりに視覚的な効果が出てきます。 2009年8月4日(火曜日) 「新規チームのチームカラーは何色がいいか」 もし新しくチームを立ち上げた時に、そのチームカラーは何色がいいでしょうか? 基本的にはブラックかネイビーがおすすめです。野球ユニフォームのラインナップは、需要の関係で、やはりブラックとネイビーが中心。この2色にしておけば、選べるアイテムも多いです。 さらにもっと切実な問題として、メンバー数を増やしたい・安定させたいとなると、ブラックかネイビーが落ち着きどころなのです。レッドやブルー、グリーン、あるいはエンジ、パープルなども、それぞれ魅力あるチームカラーではありますが、それを着たいと思う人が多いか少ないかは話が別です。たとえば、ここに10人の人がいて、まったく他の条件は考慮せずにブラックとグリーンのチームのどちらに入りたいかと聞いてみれば、おそらく8人前後はブラックの方を選ぶと思います。その逆に、グリーンを選んでくれた・認めてくれた者同士の集まりという意味では、グリーンのチームの方が結束感が出るかもしれません。 2009年8月3日(月曜日) 「道の奥は深い」 たとえば武道でも茶道でもその道の奥は深いです。一歩進んだという感覚をもつことはできるかもしれませんが、「究極の」とか「完璧な」とかそういったものにたどりつくことはできないように思います。野球のプレイにしたってきっと同じ。野球ユニフォーム作りもきっと同じ。 |