2009年6月30日(火曜日) 「無理な予算」 まったく無理な予算で、制作を進めることはもちろんできません。さらに、無理な予算だと、いったいどこをどうしたら現実的になるかさえ、考えつくことができません。いわゆる相場と2,000〜3,000円のひらきならば、「ここを変えてみましょう」「割愛しましょう」「どちらが大切ですか」といった提案も出てくるものです。けれど、さすがに相場と7,000円以上ひらいてくると、いったんチームに持ち帰っていただき、根本からの考え直しが必要になってきます。 2009年6月29日(月曜日) 「パッド加工の表・裏」 パンツにはパッド加工をほどこすことができます。メーカによっては、その補強パッドを、パンツの表・裏のどちらに付けるか選ぶことができます。プロ選手ではわりと裏付けにすることが多いようです。裏付けにすると、ぱっと見では、パッドを付けてないようにも見えるからです。 実用面では、パッドを表側に付けた方がよいかもしれません。いくらパッドを付けても、激しいスライディング等を繰り返せば、痛んだり破れてしまいます。パッドが表側に付いていれば、パッドを交換するだけで済みます。 2009年6月26日(金曜日) 「機能1:デザイン4:価格5」 野球ユニフォーム作りの全体を考えた時に、機能・デザイン・価格の3つのポイントがあるとします。ほとんどのチームにとってはおおむね機能1:デザイン4:価格5ぐらいの重要性・優先度だと観察されます。たしかに、この機能が欲しい、このデザインじゃなきゃいやだという選手がいらっしゃいますが、チーム全体で見ればこれくらいの総意になります。 さて、制作幹事にとって大事なのは、機能性で押してもチームを説得・納得させることができないという点です。デザインと価格のバランスがまずは大事です。 しかし、もっと大事なのは、この3点以外にもユニフォーム作りはいろいろとかかわってきているのに、意外とこの3点しかチームの関心がないという点です。どういうことかと言うと、納期がどれくらいかかるとか、支払方法がどうなっているかとか、打ち合わせがしやすいお店かどうか、といった制作の実務の面は、ほとんどのメンバーにとっては(少なくとも当初は)無関心なわけです。しかし、いざ作るとなると、その実務面もたいへん重要になってきます。 実務面をいったん無視できるのならば、まずは機能・デザイン・価格の3つにしぼってチーム内で話し合うのがよいでしょう。それと同時に、ところどころで、きちんと実務面も話しておくことが、実際の制作にかかった時にスムースに行きます。 2009年6月25日(木曜日) 「会社のロゴマーク、小さく」 企業のロゴマークというのは完成されたデザインです。そのままユニフォームのマークに採用しても映えます。とりわけ文字ではない狭い意味でのロゴマークというのは色々な使い道があります。胸マークもそうですが、帽子マークやワッペンにも採用できます。さらに小さくすると、右胸上部や左胸上部、あるいは後ろ首元、パンツの腰部分、リストバンドなどにも入れられます。会社のロゴマークは、大きく目立たせたいというのが一般的な心理かもしれませんが、ユニフォームにちょこんと入っているだけでも、完成された独特のデザインですから十分に目をひきます。 2009年6月24日(水曜日) 「面倒の先にあるもの」 オリジナルの野球ユニフォーム作りは、本当に面倒で大変です。しかし一度その面白さを味わうと、作る課程の面倒さというものも楽しさの一部だと感じられるようになります。しばしば、買い物は買う瞬間までが楽しいと言われますが、それは野球ユニフォームでも同じです。それが少々たっぷりと味わえると思ってみてください。 また既製品でない、オリジナルであることの価値は、その後も実感できるものです。どんなチームにもユニフォーム・デザインに詳しい人がいますから、その人から見るとなるほどなとほめてもらえることがあるものです。 2009年6月23日(火曜日) 「高くない特注品もある」 特注ウェアというと高いというイメージがありますが、メーカによってはそうではない場合もあります。定番品との金額差がわずか500円程度であったり、定番品の上級クラス・プロモデル等と比べるとかえって安いという場合も出てきます。特注は高いというイメージであきらめてしまわずに、まずはじっくりと検討してみるのが良いと言えます。 ただし特注品が絶対に定番品にかなわないのは、納期です。定番品はメーカの定量在庫がありますから、早ければ数日で納品できます。しかし特注品は最低でも2週間、一般的には4週間ほどは必要となっています。 2009年6月22日(月曜日) 「売れていると分かってから作るメーカ」 野球ユニフォームのアイテムは、追加注文に対応できることが、暗黙の前提となっています。そのため、むやみやたらに新製品を出すわけにはいきません。新製品をどんどん出せば、それだけ追加対応の準備=在庫が増えて、メーカの経営を圧迫してしまうからです。 そういう背景もあってか、野球ユニフォームの商品は、売れていると確かに分かってから、メーカが作り出す・ラインナップに加える傾向があるように観察されます。別の言い方をすると「売れるかもしれない」「きっと売れるだろう」「いま売れてるだけかも」というレベルでは製品として登録できないということです。1〜2年たしかに売れているという実績が出てから、ようやくしっかりとラインナップに加わるのです。こういった流れが消極的な方向にはたらけば、新しい製品が出てくるまでには年単位での時間を必要とすることになり、また、小さな価値ある新しい芽を育てることができないとも言えます。これはメーカにとっては経営上の防御策ではありますが、同時に打開策も展開しないと、ダイナミックで魅力ある製品作りができないように思えます。 2009年6月19日(金曜日) 「セカンダリィシャツを最大限に活かすには」 セカンダリィシャツの機能的な魅力は、軽さ・薄さです。これを最大限に活かすためには、マークを軽くすることが大事だと言えます。せっかくのセカンダリィシャツでも、あちこちにマークを付けたり配色数を増やしたりすると、一般的なユニフォーム・シャツの重さと変わらなくなってきてしまいます。とりわけ、メインのシャツは残しつつ、夏用に第2シャツを設けようというチームはそうした重さ・薄さのメリハリを付けるとおもしろいかもしれません。 2009年6月18日(木曜日) 「動きの中でどう見えるか」 野球ユニフォームのイメージ、イラストでは、モデルがほぼ正面を向いて立っているか、あるいは、平置きの状態であることがほとんどです。これには動きがありません。野球らしさがないとも言えます。動きの中でユニフォームが見せる姿はまた別のものです。また、はっきりと分かる大きさで表示されます。たとえば、外野から見た投手や打者はどう見えるでしょうか。小さなこだわりでは何の違いもないほどです。 2009年6月17日(水曜日) 「チームカラーと今後のアイテム」 チームカラーはとても大事です。それはユニフォームだけでなく、今後作ってゆく、あらゆるチームアイテムにかかわってくるからです。ユニフォームが黒ベースなのに、コートは赤ベース、セカンダリィシャツが緑ベースといったわけには普通ゆきません。 とりわけ草野球チームは、一度にすべてのアイテムをそろえるわけではなく、数年おきにすこしずつアイテムを増やしてゆく傾向があります(最初はユニフォーム、3年目あたりでコート、5年目あたりでキャップ更新あるいはセカンドシャツといった具合に)。一度チームカラーを定めてしまうと、途中で変えるのが難しいと言えます。プロ球団ではたっぷりの予算がありますから、数年に一度、ユニフォームを含めてすべてのアイテムを作り替えてしまう=チームカラーも大胆に変更するという芸当ができますが、草野球チームにとってはそうはゆかないでしょう。 2009年6月16日(火曜日) 「学生野球向けの微妙なカラー」 学生野球では、大会等のルール上、ユニフォームのシャツ・パンツに採用できる色が固定されていることがほとんどです。ホワイト、グレー、アイボリィ、および一部のストライプ(白*黒縞、白*紺縞)です。草野球で一般的な黒色シャツや紺色シャツ、あるいはコンビネーションモデルは、学生野球では採用されていないのです。 しかし、おもしろいことに、このホワイト、グレー、アイボリィにはいくつか色合いの種類があります。たとえば、とても濃いグレーがあったり、薄茶色に近いほどのアイボリィもあるほどです。たしかに色が選べないのですが、ルールからはみ出さない限りで、その学校独自の色合い=カラーを採用しようという、見えないような見えるような努力が存在します。 草野球でも、学生向けのユニフォームを採用することができますが、草野球向けのモデルと比べると多少価格が高めであったり、あるいはスタイル・シルエットが学生向け=草野球らしくなかったりはします。 2009年6月15日(月曜日) 「同色グラデーション」 最近マークでは、グラデーション配色を使うことができるようになりました。グラデーションというと、虹のように次々と色が変わってゆく様がよく挙がってきますが、野球ユニフォームに関していえば、どうもそうしたグラデーションは似合わないケースが多いようです。どちらかと言えば、同色のグラデーション(例:濃い青から水色への変化)の方がしっくりきます。マークだけきらびやかであれば良いというものではなく、やはりユニフォーム全体とのバランス、チームカラーをおさえた配色が、グラデーションでも大事だということだと思います。 2009年6月12日(金曜日) 「厚みは意外と重要だ」 ウェア生地の機能性を評価するためには、いくつかの軸がありますが、厚みがあるほど嫌われる・評価されない傾向があります。とくにシャツの場合がそうです。やはり厚みが増せば、重くなる・伸びなくなる・通気性が悪くなるといったデメリットが目立ってくるからです。しかし薄すぎると、暑い夏はよくても、寒い日や風の強い日では防寒機能が期待できませんし、それだけ耐久性が落ちて破れやすくなります。アンダーシャツが透けて見えてしまいます。必要とさせる厚みもあるわけで、そこは生地繊維の構造等ともかかわるバランスです。 2009年6月11日(木曜日) 「たしかに会社チームが減っている」 ここ2年近く日本は(世界的にも)不況だと言われています。野球ユニフォーム作りでも、たしかに会社チームのご注文・制作が減っているように観察されます。有名な社会人チームも休部・廃部といったニュースもありました。もともと会社チームというのはここ十数年、減少傾向にあったわけですが、それにいっそう拍車がかかったと言えそうです。また休部・廃部にならなくても、会社からの補助金が削られたり無くなったりもしているようです。こうした出来事はきっと「わざわざ会社で野球チームを作ることはないじゃないか」といった苦い経験となってしまうような気がします。これを良い経験とするばらば、今後は、たとえ会社の後ろ盾がなくても(一定期間は)チームを存続させる、その決意と準備をあらかじめ持っていることが必要だと言えます。 2009年6月10日(水曜日) 「番号換え」 今付いている背番号を取り外して、別の数字を取り付けること、つまり背番号換えはできます。たとえば「10」を「5」にしたいといったご要望です。 ただし刺繍(縁取刺繍、直刺繍、チドリ掛け)で付いている場合には、技術的に不可能な場合も出てきます。刺繍というのは文字通り生地に糸で縫いつけるわけですから、そもそも取り外すということは想定していないわけです。取り外せば、縫っていた痕が残りますし、場合によってはシャツ生地等に穴が空いてしまいます。また、取り外す作業自体も時間・労力がかかります。いっそのことシャツ全部を作り直していただいた方が安く済むという場合も出てくるほどです。 安い・高いで言えば、番号換えは無駄が多いと言えます。ただ、番号だけを取り替えてシャツを永く使おうという観点からは、物を大事にするというエコの思想があります。 2009年6月9日(火曜日) 「できなくはないが、できない」 野球ユニフォームでは、技術的にできなくはないが、実際には注文・制作できない、というものが少なからずあります。たとえば、プロ球団とまったく同じユニフォームを作ることは技術的に可能ですが、権利・法律の関係上、勝手に作るわけにはゆきません。ショッキングピンク色のユニフォームを作ることはできますが、ほとんどまったくそうした需要はないので、特別オーダとなってものすごく高い費用がかかってしまうという意味では作ることができません。他にも小さなことでいろいろな制約があって、素人目に見ると簡単にできそうですが、実際には不可能である(現実的ではない)ということが出てきます。もうそういう時は黙って納得していただくしかありません。たとえると、同じ自動車に関する要求でも、普通乗用車とF1カーでは求めることができるものがちがってくるということです。 2009年6月8日(月曜日) 「幹事は悩む」 野球ユニフォームを作るとき、各チームで幹事をもうけることが多いと思いますが、幹事さんはいろいろと悩むことがあります。幹事さんが必ずしも、野球ユニフォーム作りに詳しかったり、意見をまとめるのが上手かったり、デザインのセンスが豊かだったりするわけではないからです。また、チームの事情もそれぞれ。メンバーの年齢差や好みにひらきがあったり、集金にルーズだったり、月に2回集まるのがやっとだったりと、どうにもまとまりがつかない場合もあります。もちろん中には、野球ユニフォーム作りが大好きで得意だという方もいらっしゃいますが、そういう方は稀です。幹事さんの悩みはつきません。これが本当のところだと思います。 いかに簡単に、手早く、わかりやすく、安心して、ユニフォームを作るかということは、幹事さんの負担を考える面でもたいせつです。 2009年6月5日(金曜日) 「無いものを見えるようにする」 野球ユニフォーム作りは、チーム毎の受注生産という性格がとても強いです。一般の商品とはちがって、目の前に存在してはいません。つねにこれから作るものなのです。しかし、何をどう作っていけばよいのか、という想像力を駆り立てるものは必要です。まったくの無から独自のユニフォームを作り出せる人・チームもいるでしょうが、やはりカタログやら他のチームやらを参考にするものです。しかし、その見えるものにとらわれてしまうと、想像力が狭められてしまいます。外からの情報ではなく、内からの想像力で、作ってゆく。それが大切だと思います。 2009年6月4日(木曜日) 「サイズの不思議」 野球ユニフォームのサイズ表記は基本的に、「S.M.L.O.XO」といった区分が使われます。これらは英語の省略・頭文字に由来し、「S」は「Small」=小さい、「M」は「Medium」=中間、「L」は「Large」=大きい、「O」は「OverLarge」=さらに大きい、「XO」は「ExtraOverLarge」=とっても大きい、となっています。 しかし、現実のサイズ需要は、Lサイズが一番多く、次にOサイズ、そしてようやくMサイズといった具合です。中間であるはずのMサイズの需要は、三番手ぐらいなのです(良くて二番手)。Lサイズが一番需要が多いということは、このサイズこそが中間=Mサイズと呼ぶべきではないかという気もします。まあ、S〜XOという5段階で、真ん中のLサイズが一番需要が多いという意味では納得できなくはないのですが。 それと、このサイズ区分では、身長に連動して、胸囲やウエストも広くなってゆきます。こうなると背高ノッポの人や幅広の人には対応しづらいのです。身長区分は3段階でよいので(例:160cm/170cm/180cm)、それぞれに細め・標準・太めというものがあれば良いなと思います。 2009年6月3日(水曜日) 「女子用ユニフォーム」 女子用ユニフォームは、そもそも展開しているメーカとそうでないメーカがあります。やはり男女では需要の差、ブランドの差があるのです。 チーム全体が女子だということになれば、みんなでそろって、女子用デザイン(衿付きシャツやショートパンツ等)にするのもよいでしょう。 チーム内で数人のメンバーのみ女子の場合はどうするべきか。厳しい大会ルールでは、選手はすべて同一デザインと定められていますので、女子の選手でも、ほかの男子の選手と同じデザインにしなければいけません。特にそういった制限がなければ、女子選手のみ衿付きシャツ等の特別デザインにしてもよいと思います。 女子の選手が、男性用ユニフォームを転用すると、サイズの問題が出てきます。男性の一番小さいSサイズでも、女性にとってはLサイズ、Oサイズに相当する大きさなので、着用できるケースが少ないです。特注・別寸で対応するか、あるいは同じデザインのジュニア用を転用するか、というケースが多いです。なお、帽子サイズについては、それほど問題にはなりません。人間の頭の大きさは、女性でも男性でも(あるいは子供でも)、それほど大きくはちがわないので、ほとんどの場合、通常の展開サイズで対応できます。 2009年6月2日(火曜日) 「ルーズ、タイト」 シャツやパンツのシルエットで、これまではルーズスタイルが主流でした。ここ1〜2年でタイトなスタイルの人気も復活してきています。元々ルーズスタイルはアメリカのメジャーリーグがカッコイイということで流行ってきましたから、日本人の体型に似合っていない部分もあったのかもしれません。もっと大きくは、カジュアル・アパレル全般もタイトが伸びていますので、そういった影響もあると思います。 要はカッコイイかどうかの事柄なのですが、単純にルーズとタイトのどちらがカッコイイかという比較は意味がなく、人によってもちがってくるでしょう。だぶついた着こなしの方がかっこよく見える人も入れば、ぴしっと着こなした方が似合う人も居ます。シャツはタイトで、パンツはルーズという組み合わせもありかもしれません。もちろんカラーやマーク等のデザイン面の影響もあります。 ただ、これから出てくる新しいアイテムは、タイトという潮流をとらえたものが増えてゆくと思います。 2009年6月1日(月曜日) 「需要一段落の6月」 6月は野球ユニフォーム作りが一段落している時期だと言えます。草野球の開幕シーズン、学生野球の新入生用、そして追加メンバー分の制作という春の三大需要が、ほぼ納品済みになっているからです。 ここからユニフォームを作ろうというチームは、すこし先になりますが夏や秋の新しい大会を見据えたチームだと言えます。急いでいない分、じっくりと検討でき、余裕をもって実際の発注にのぞめるというメリットがあります。また、野球ユニフォームには、一般のカジュアルウェアとちがって、秋物・冬物といったアイテムがほとんど存在しません(コート類は別格)。3月の段階でユニフォームを作っても、6月以降に作っても、選べるデザインや価格ではほとんどちがいがないのです。 |