2009年1月30日(金曜日) 「長く採用することの価値」 ある同じデザインをずっと長く採用していると、それがそのチームの魅力として認識されてゆきます。たとえば、ストライプはどのチームでも採用できるありふれたデザインですが、それを十数年、何十年とユニフォームにしていれば、きっとそのチームのシンボルとなるでしょう。たとえば帽子マークだけでもずっと同じデザインを使っていれば、それがチームのアイデンティティとなってゆくこともあるはずです。見た目において他のチームとちがっているかだけでなく、ユニフォームがつちかってきた時間によってもオリジナリティが生まれるのです。これは時代の力とも言えます。 2009年1月29日(木曜日) 「闘志、楽しさ、威圧感」 野球ユニフォームの印象に求める方向性は大きく3つに分けることができると思います。ひとつは選手たちの闘志が湧いてくる、高まるようなデザイン。もうひとつは、みんなで楽しくプレイする、活動している雰囲気を盛り上げるデザイン。これら2つは自分たちのチーム向けですが、最後に、相手チームにどう見えるかという観点から、威圧感があって手強そうだなと思わせるデザインがあるように思います。ご相談・見積時の傾向からすると威圧感を求めるチームが圧倒的に多いように思います(「強そうに見えるデザインにしたい」等)。 闘志系と威圧系の方向性・デザインには通じるものが多くありますが、視点が自分側にあるのか相手側にあるのかは、心のあり方・プレイのメンタルコントロールがまったくちがってくるように思います(どちらが良い悪いではなく)。 2009年1月28日(水曜日) 「ロゴを部分的にカラー変更する」 胸マークや帽子マークで、ある一部分だけのカラーを変える、ということは可能です。たとえば「RedStars」という文字において、「Red」は赤色で「Stars」は黄色にしたいといったケースです。あるいはまた、胸マークの下側に付く「ひげ・あし」だけ、別のカラーにしたいといったケースです。ロゴの文字毎・パーツ毎にカラーを変えるのはさほど難しくはありません。最近では、昇華マーキング技術によって、グラデーション表現さえ可能になっているほどです。 一部分のカラー変えても、加工単価が変わらない場合もあります。ただイレギュラーなデザインと言えますので、その都度、お店・メーカに確かめてみてください。 2009年1月27日(火曜日) 「原色、パステルカラー、渋い色」 ウェアやマークで使えるカラーというのは、原色に属するものがほとんどです。赤や青、黒、白、紺、緑や黄や橙など、基本中の基本の色になっています。 対して、パステルカラーや濃い色・渋い色というのはあまり充実していません。濃い赤やパステルネイビーといった中間的なカラーになると、ラインナップされていないことがほとんどです。 ただしマークに関しては最近、昇華マーク(自由にマーク生地を染色できる)が導入されたり、刺繍糸のラインナップを増やしているメーカ・お店が出てきているので、かなり自由な色使いができるようになってきました。 2009年1月26日(月曜日) 「マーク価格は材料費・加工時間・手間」 マーキングの価格は、材料費・加工時間・手間の3つで左右されてきます。 材料費は、マーク生地と刺繍糸、それをどれだけたくさん使うかです。マークの面積が増えるほどかかってきます。 加工時間は、ミシンを使っている時間です。面積が広かったり、複雑な図形ですと、加工時間が長くなり、マーキングの基本道具・機器であるミシンを占有します。 手間は、加工時間とはまたちがったもの。マーキングは全自動でできるわけではなく、必ずどこでも人の手が入りますが、それにかかわる人数・時間がかかると価格に影響してきます。 これら3つが複雑に関係しあうので一般のユーザにとっては、マーク単価は必ずしも分かりやすものではないようです。 2009年1月23日(金曜日) 「サイズ展開がちがう」 同じメーカであっても、ウェアの品番によっては、サイズ開がちがっています。たとえばA商品ではS.M.L.O.XO.O-6.O-8展開であるのに、B商品ではM.L.O.XO.2XO展開だったりします。商品の特性・性質上サイズ展開を変えている場合もありますし、在庫管理(できるだけ在庫を持ちたくない)の都合上変えている場合もあります。 ただ定番サイズには欲しい規格がなくても、特注・別注であれば希望のサイズを作れる場合が多いです。 2009年1月22日(木曜日) 「いろいろな背番号」 広い意味での背番号とは、選手ひとりひとりに割り当てられた数字のことです。とくにシャツの背中に付ける番号を、狭い意味での背番号と呼びます。シャツ前面の胸マーク下に取り付けるのは胸番号と呼びます。これら背番号、胸番号のほかにも、いくつか背番号を取り付けることができます。 袖番号: 文字通りシャツの袖に取り付けます。大きさは胸番号と同じぐらい(高さで約8cm)が多いですが、意図的に小さめに(高さで約5cm)とすることもあります。 胸上部番号: 通例とはちがって、胸マークの上側に(=鎖骨のやや下側に)取り付けます。胸マーク書体によっては、この方がしっくり来ることもあります。 腰番号:パンツの左腰部に高さ5cmほどの番号を取り付けます。一時期は大分流行りましたが、今ではほとんど見られなくなりました。 帽子番号:帽子本体の側面または背面に、高さ3cmほどの刺繍を入れます。 2009年1月21日(水曜日) 「袖マークの色はどうすべきか」 袖マークには、地名(都道府県名や市町村名)や会社名、正式チーム名(とりわけ片胸マークの時)を入れることが多いです。地名や会社名はある意味で付属的なものですから、胸マークなどと比べると重要性が低いです(だから袖に入っている)。そういった袖マークの色はどうすべきでしょうか? 一般的には、胸マーク配色と同じにすることが多いですが、シャツ生地色との関係でマークの縁色やホワイト色が採用されることもあります。あくまでも袖マークは主役ではないので、ユニフォーム全体のバランスを損なわなず、かつ胸マークよりも目立たない範囲で、好きなカラーを採用してよいと思います。 2009年1月20日(火曜日) 「色をパーツで使い分ける」 ユニフォームに採用する色が、3色、4色、5色と増えていった場合、ユニフォーム全体の統一感・バランスを保つことが難しくなってきます。こうした場合には、パーツの分類毎にカラーを使い分けることが有効です。たとえば、ライン加工に使う色はA色とし、他の色は決して使わない。そのかわり、マークの文字色にはB色を使い、フチ色にはC色を使う(マーク部分にはA色は使わない)といった具合です。 2009年1月19日(月曜日) 「漢字ロゴは大きく、少ない字で」 漢字のロゴマークの時は、英文字よりも大きくすることがポイントです。同じ大きさの漢字と英文字を並べると、なぜか漢字の方が小さく見えがちです。 場合によっては、漢字ロゴは英文字ロゴの1.5倍以上でもいいほどです。同時に、マークを入れられる面積というのは限られているので、漢字ロゴのときは文字数を少なめにするのもポイントになってきます。 2009年1月16日(金曜日) 「先頭文字は大きく」 胸マークが英文字の時、先頭文字は他の字と比べて大きくするのが一般的です。どれくらい大きくするかというのは、書体や綴りによりますが、おおむね1.5〜2.0倍にします。先頭文字に、後ろにつづく文字たちを受けとめる迫力感がないと、ロゴマーク全体が弱弱しく見えてしまうためです。かといって先頭文字の大きさを2倍以上にすると今度は先頭文字だけ異常に大きくなってしまうので、2倍以内におさめることがほとんどです。 また、先頭文字は大文字にすることが一般的ですが、チーム名のあり方によっては意図的に小文字にすることがあります。ちょっとおしゃれ、POP、近未来な雰囲気を出せます。この場合、先頭文字だからといって大きくすることはほとんどありません。小文字であることの良さを保つためです。 2009年1月15日(木曜日) 「漢字ロゴの類型」 胸マークや帽子マークではしばしば漢字書体が採用されます。漢字はおもに「楷書体」「行書体・草書体」「明朝体」「ブロック体」の4つに分類できます。このうち後者「明朝体」「ブロック体」の2つは、野球のロゴマークとしては不人気です。視認性・判読性が高いですが、字としての面白み・ダイナミックさに欠けているとも言えます。その点「楷書体」「行書体・草書体」はいわゆる筆文字としての良い意味でのクセがあります。 もしメンバーの中に達筆の方がいらっしゃいましたら、書いていただくのもよいかなと思います。既製のフォントではないチームオリジナルのロゴが出来上がります。学校チームでは書道の先生が書いてくださることもあります。 2009年1月14日(水曜日) 「ウェアに欲しい色」 現在ほとんどのメーカで採用されていないウェア(とりわけシャツ、キャップ)のカラーで、ぜひラインナップに加えていただきたいのは下記です。 濃いレッド:レッドとエンジはラインナップにありますが、その中間的とも言えるレッドが欲しいところ。意外とプロ球団やメジャー球団で採用しているところもあります。 ピンク、マゼンタ:ラインナップされているメーカもありますが、しっかりと需要のあるこの2色はぜひ。 ゴールド:濃い黄色ではなく金の方のゴールドです。照り・輝きは入れにくいと思いますので、黄土色に近くなるかもしれません。ラインやパイピングにはゴールドがありますが、シャツ生地等にはなかなかありません。 ケリーグリーン:いわゆる黄緑色です。グリーンとの相性が言いのはもちろんですが、イエロー系やブルー系との組み合わせも期待大。アクセント部分にぜひ採用してみたいです。 こげ茶:はっきり言って、需要は皆無かもしれませんが、アイボリィやオレンジとの相性が良さそう。意外と高級感が出せそうです。 薄いグレーと濃いグレー:グレーはもちろんラインナップされていますが、しっかりと薄い、あるいは反対に濃いグレーというのはなかなかありません。いわゆるシルバーグレー、チャコールグレーもぜひ欲しいです。 2009年1月13日(火曜日) 「別注ストッキングの復活!?」 最近では短い丈のパンツ、いわゆるレギュラーパンツやハイカットパンツの需要が増えています。それにともなって、別注ストッキングのお問い合わせも若干ですが増えてきています。別注であれば、定番の単色カラーとはちがって、いろいろなカラーを組み合わせられます。 しかしチームの中では、これまでの主流である丈の長いパンツ(ロングやストレート等)を履いている選手も多く、そういう人たちにとっては別注ストッキングへのこだわりは無いに等しいものです。チーム全体として別注ストッキングにまで踏み込めるかというと、そこはまた難しいものがあると思います。 また別注ストッキングというと、1970年代以前の日本プロ野球や、学生野球を想起する人も多いと思います。ですから反対に、いわゆるメジャースタイル、アメリカンスタイルという雰囲気を出しづらい面もあるように思います。ユニフォーム全体のスタイルと、別注ストッキングが合っているかというデザイン面での確認も必要です。 2009年1月9日(金曜日) 「小さい胸マーク」 野球ユニフォームは力強さの印象を大切にすることが多いです。そういう観点からは胸マークというのはしっかりと大きく作る傾向にあります。しかし反対に、胸マークをほどよく小さく作るメリットというものもあるはずです。ひとつは、胸マークとシャツ本体との一体感、シャツ全体への視点重視です。大きな胸マークは迫力がありますが、シャツ全体への理解が薄まるとも言えます。もうひとつは機能的な軽さ・動きやすさ。やはり胸マークが小さいほど有利といえます。 2009年1月8日(木曜日) 「10年前のデザイン」 しばしば「ファッション・衣類の流行は10年前のデザインに戻る」といったことが言われます。10年前のデザインの流行が、まったく同じというわけではありませんが、新しい要素を取り入れて復活してくることがあるというものです(意図的か無意識か偶々かは分かりませんが)。 野球ユニフォームについてもこの傾向は当てはまるかなあと思えることがあります。プロ球団で見ると、個別のプロ球団では10年たつとオーナ会社が変わっていることが多くまったく異なるデザインですが、球界全体の単位で見てゆくとやはりその傾向が見られるように思います。草野球では近年、多様性がどんどん進んでいますが、それでも流行の柱のいくつかはやはり10年程前のものと通じるものがあります。 2009年1月7日(水曜日) 「アバウトな値付け」 野球ユニフォームの単価にはアバウトな面があります。たとえばウェアのサイズがちがっても基本的には同じです。実際にはSサイズとXOサイズでは大きさがちがいますから、材料費・加工費が変わってくるはずです。しかし製品単価としては同じです(ジュニア用だったり別寸だったりすると変わってきますが、これは例外と言えます)。 またマーク文字数や書体によっても変化することが少ないです。「Cats」というチーム名と「IriomoteCats」というチーム名で胸マーク単価が変わることは少ないです。メーカ・お店によっては、たとえば背番号1桁と2桁で金額設定を変えているところもありますが、「11」と「88」では同じ金額だったりします。 きちんと原価・売価を計算するよりも、分かりやすい価格に設定するという方が、ユーザにとってもメーカ・販売店にとってもメリットがあることが多いです。 2009年1月6日(火曜日) 「ラグラン袖とボックス袖」 シャツは袖の付き方・縫い付け方で、ラグラン袖とボックス袖の2つに分かれます。ラグラン袖というのは袖の生地が肩まで伸びているもので、ボックス袖はきっちり袖だけで身頃と分かれています。 一時期はボックス袖が隆盛でしたが、ここ数年ではラグラン袖の方がずいぶんと盛り返してきました。理由のひとつはラグラン袖の機能性にあります。野球やスポーツでは肩・腕の運動が重要ですが、ラグラン袖の方がいくらか動きやすいという利点があるからです。 もうひとつの理由はデザインの面白さにあると思います。近年ではコンビネーションシャツ・特注シャツが主流となっていますが、それらのデザインをより活かすためには、曲線をともなったラグラン袖の方が向いています。(もちろんボックス袖にもデザイン上の魅力があります(区切りが直線的なので力強さが出る等。) 2009年1月5日(月曜日) 「声を聞き、形にする」 制作サイド・受注側から見ると、野球ユニフォーム作りというのは、お客様の声をよく聞いて、それを形にすることと言えます。声というのは、文章の時もあれば音声の時もありますが、その考えや思いがあますことなく伝わってきて汲み取れるかというと、完璧であるということはまずありません。それは野球ユニフォーム作りだけでなく、すべてのコミュニケーションに言えることでしょう。 しかし伝わろうと通じていなかろうと、とにかく野球ユニフォームという現実の形に実らせなければいけません。そのユニフォームが、お客様の声をどれだけ反映しているか、あるいは凌駕しているかが最終的には重要です。なんだか上手くコミュニケーションがとれていなくても(それはそれで問題ですが、お客様の本当に意図することが分からずただただ丁寧に作るということもあります)、すごいユニフォームができあがってくるということもあります。 |