2008年12月25日(木曜日) 「別寸の必要データ」 シャツやパンツで別寸を作る場合、それぞれ以下の身体データが必要です。 シャツ:身長、胸囲(できれば胴囲も) パンツ:身長、ウエスト、仕上がり股下(できればヒップ、ももまわりも) しばしば体重をご連絡いただくことがありますが、体重は参考程度にしかなりません。その体重でどういう身体つきになっているかは人それぞれだからです(筋肉質の人もいれば、骨太の人、そうでない人も)。 2008年12月24日(水曜日) 「メーカ毎のライン加工」 ライン加工の仕様はメーカ毎にちがってきます。ラインナップされている幅もカラーもちがいます。単色であればたいていは大丈夫ですが、ちょっとマイナなカラー(たとえばピンク)になったり、複数色ラインになると、可能なメーカとそうでないメーカが出てきます。幅もおおむね細い・中くらい・太いの3区分はありますが、ミリメートル単位でみるとちがってくること(たとえばA社では5mm幅で、B社では6mm幅)が多いです。 しばしば「パンツはAメーカで、ライン加工はBメーカを取り付けられますか?」というご質問を受けますが、それは不可です。A社の製品をB社の工場に持ち込むわけにはゆきません。 2008年12月22日(月曜日) 「需要の波」 野球ユニフォームは毎年、春先(2〜4月)が一番混みあいます。さらに詳しく見ると、2月が一番混みあう年もあれば、すこしずれた5月が混みあう年もあり、さまざまです。また年間を通してみても、例年よりも混みあう時もあれば、逆に需要全体が落ち込むときもあり、さまざまです。需要の波は完璧に読めるものではなく、シーズンがおわって振り返ってみると「ああ今年はそうだったなぁ」と分かる程度です。 需要の波によって、お客様への納品・納期にも影響が出てきます。いつもの年であれば2週間でお届けできたものが、さらに+1〜2週間かかる場合も出てきます。増産体制を組むにしても限界がある(特にご注文が混みあい始めて、生産の混乱が落ち着くまで)ので、とにかくユーザの皆様には納期に余裕をもっていただきたいです。 2008年12月19日(金曜日) 「縁取刺繍vsチドリ掛けvs直刺繍の見た目」 胸マークの刺繍技法はおもに「縁取刺繍」「チドリ掛け」「直刺繍」の3つがあります。 直刺繍はシャツ生地等に刺繍糸を直接縫い付ける技法です。刺繍糸のみで仕上げる気品がありますが、面積が狭い場合にのみ採用できます。 縁取刺繍はマーク生地の輪郭を縁取って、シャツに取り付ける技法です。刺繍の豪華さを取り入れつつ、広い面積に対応できます。 チドリ掛けはマーク生地の輪郭をジグザグにとめます。糸が目立たず、マーク生地の風合いが決め手となります。 近くで見たときに「おっ」と思わせるのは、やはり刺繍糸がきわだつ直刺繍と縁取刺繍です。マークに注目が集まります。チドリ掛けは反対に、マークがただ単に付いているように見えもしますが、マーク+ウェア=ユニフォームとしての一体感が魅力と言えます。 2008年12月18日(木曜日) 「金・銀の価値」 マークの刺繍糸では金糸・銀糸を採用できます。マーク生地にも金メタリック・銀メタリックというものがあります。これら金・銀というのは、黄土色や黄色、グレー色とはまったくちがった価値をもっています。とりわけ強い光が当たったときの輝き具合がちがうのです。たとえるなら、鏡と石ぐらいちがいます。 2008年12月17日(水曜日) 「あの手この手の副産物」 野球ユニフォームに限らず他の多くの製品・サービスでも言えることですが、日本での商売というのは年々縮小傾向にあります(主として高齢化社会、人口減少のため)。今までの売上げを維持したいと思っているメーカや販売店ならばまず考えてしまうことの1つは、一人のお客様にできるだけたくさん買っていただくことです。あの手この手でいろいろな商品を考えて売ったり、付加サービス等をつけて客単価を上げようとします。 お客の立場としては「うっとぉしいなぁ」と感じることも少なくないかもしれません。しかし時として副産物も生まれます。今までそれほど多くの需要がなくて製品化されていなかったり、ラインナップになかったりしたものが、商品・サービスとして出てくることがあるのです。お客の立場からすると「ようやく買えるようになったよ」と思ってしまうものですが、かゆい所に手が届くようなうれしさもあります。 野球ユニフォームの世界で言えば、近年は対応カラー(とりわけ定番品での対応カラー)が増えています。全体の需要が少なくなっているのですから人気のないカラーはどんどん削減されるかと思いきや、その人気のないカラーの注文も取りのがすわけにはゆかないというわけです。それから、いわゆるアクセサリィ(ソックスやリストバンド等)やセカンダリィウェア、トレーニング・アイテムのラインナップも増えています。試合用だけでなく、練習・アップのシーンにも注目が集まっています。 2008年12月16日(火曜日) 「一般ウェアより安い」 野球ユニフォーム一式を一番安くそろえると\15,000前後で可能です。これはある意味安いと言えます。とくに各チームのオーダ品(オリジナルなデザインで、かつ少ロット生産)であるという点を考慮するとそう思えます。一般の既製品カジュアルウェアでも、ある程度の機能・素材のものを上から下までそろえると同じぐらいの金額になってしまうはずです。自動車にたとえると、野球ユニフォームはスポーツウェアですからレーシングカーです。高性能ですが値段が高くて当たり前です。しかしそれが一般の自動車と同じぐらいの価格で売っていたらそれは驚きと言えます。 2008年12月15日(月曜日) 「特注の廃番なし!?」 野球ユニフォームは追加メンバーが発生するために、数年にわたって同じ仕様への需要が見込まれます。しかしメーカとしては、いつまでも同じ商品をラインナップしているわけにもゆきません。デザインが廃れてしまったり、あるいは素材が改良・向上したり、ラインナップが増えすぎたりと理由はいろいろですが、どこかで製品を入替える、後継商品を出す必要があります。逆に言えば、商品が廃番となってしまい、追加注文ができなくなるという可能性・不安があるのです。 ときに「特注に廃番なし」と言われることがあります。はじめから特注で作っておけば、製品入替の可能性がなく、いつまでも追加注文ができるというわけです。これはほとんどのケースで当てはまります。しかし極まれに、たとえ特注でも同じ仕様で作れなくなります(確率としては100チームに1チームあるいかないかぐらいですが)。とくに素材変更・廃番があるときがそうです。 2008年12月11日(木曜日) 「いい物ができた」 「いい物ができた」という感覚を、ぜひ野球ユニフォーム作りでも味わっていただきたいと思っています。たんにユニフォームが痛んできたからさっさっと選んでしまって買い換えたというのではなく、選んで考えて悩んで、その結果すごく納得・満足ゆくものができたということがあるうるのだということを想像してみてください。野球ユニフォームはオリジナル・オーダという性格が強いですから、世の中にたくさんある既製品やカスタマイズ製品とはまったくちがった楽しさ・魅力があるのです。 2008年12月10日(水曜日) 「まずは3〜4人で」 野球チームは通常9人以上です。しかし9人以上もいると、なかなか意見はまとまりずらいです。一般的に6人以上の意見をとりまとめるのは難しく、それなりの技術が必要となってきます。チームによっては20人以上という場合もあるはずです。ユニフォームの買い替え・作り替えを検討するときは、まずは3〜4人で話し合ってみるのがよいと言えます。もちろん、この3〜4人ですべてを決めるというわけではありません。 この少人数で買い替えが前向きにならなければ、あとのメンバーに無理押ししても難しいでしょう。おおむね作り替えには合意できるようでしたら、つぎに具体案を2〜5つまとめて、残りのメンバーにもちかけてみてください(ここで反対や大幅修正に合う可能性も覚悟して)。 2008年12月9日(火曜日) 「帽子を選ぶ楽しさ」 帽子・キャップ本体の主なポイントは「シルエット」「素材」「サイズ形態」「色合い」「価格」の5つと言えます。 最初の3つについては、こだわりのある人はこだわりがあります。しかしながら、その全てを満たす帽子の定番品が存在するかと言うと、必ずしもそうとは限りません。いずれかを優先・妥協するか、あるいは自由な特注・別注モデルで進めるかとなります。 色合いについては、各メーカ毎に定まっており、(たとえ特注・別注でも)選択肢の中から選ぶことになります。シルエット等が条件を満たしても希望するカラーがなかったという場合もあります。 できる/できないで考えてしまうと息詰まってしまうので、チョイスする楽しさとして帽子本体を選ぶのがよいと思います。 2008年12月8日(月曜日) 「透明感のあるマーク」 最近のマーク技術の進歩によって、グラデーションやパステルカラーが採用できるようになりました。従来のマークではいわゆる原色をベースとしたデザインが主流でしたが、これからは透明感のあるマークも選択肢に入ってきます。透明感というと力強さとちがって野球ユニフォームには似合わない感じもありますが、自然に存在するものは原色でないものがほとんどで、そういう観点からはよりリアルなマークに仕上がるかもしれません。 2008年12月5日(金曜日) 「最長1年」 野球ユニフォーム作りは細かく打ち合わせると、本当にいろいろな事項が出てきます。きっちりメンバーみんなにも検討・確認をしてもらうと、たくさんの時間・日数が必要です。最長で1年。それくらい打ち合わせるチームもいるほどです。気長に打ち合わせる。余裕をもってのぞむ。 2008年12月4日(木曜日) 「スポーツ・カーの説得」 野球ユニフォームを作り替える・買い換えることには、チーム内で温度差があることが少なくないです。制作幹事さんはぜひ作り替えたいと思っていても、乗り気でないメンバーもいることでしょう。そういう時にどう説得するか。 ひとつは「最近ユニフォームくたびれてきたよね...?」「オレらのユニフォームって時代遅れじゃねえ!?」という具合に、作り替えの必要性をうったえることです。しかし、現在のユニフォームがよほどひどくはない限りは、「まだまだ着られる」「今のデザイン気に入ってるよ」と切り返されるのがオチかもしれません。 それよりは多くのメンバーを「おおっ」とうならせるようなかっこいいデザイン案を見せる方が効果的だと思います。スポーツ・カーが売れる心理と同じです。値段は高く、必要性のない馬力・機能もありますが、それでも欲しい人は買うのです。野球ユニフォームも究極的には、着たいと思うかどうか、それに尽きます。その場合、見た目の支配力が大きいと思います。 2008年12月3日(水曜日) 「同系色の特注シャツ」 特注シャツの配色では「メインカラー*対比カラー」(例:ネイビー*レッド)、あるいは「メインカラー*副えカラー」(ネイビー*エメラルド)のいずれが多いです。せっかくの特注カラーなので、アクセントとなる色を取り入れようというわけです。 しかし同系色でまとめあげるのも一手です。たとえばブラック*グレー*ホワイトといった具合です。アクセントとなるカラーが無いとも言えますが、主役であるメインカラーがしっかり映えます。 2008年12月2日(火曜日) 「味のあるロゴ」 きれいに整っていなくても、魅力のある字があります。どうにも読みづらくても、なにかが伝わってくる字があります。一流の書道家の字などを見ると、その人のクセを超越した、字そのものが本来持っているかのような何かがそこにあるような気がします。いわゆる味のある字というものです。それと同じように、野球ユニフォームのロゴマークも、普通の意味できれいだったりかっこよかったりする必要性は必ずしもないのです。 2008年12月1日(月曜日) 「飾り付けない強さ」 シンプルなデザインの野球ユニフォームには「はっ」とさせられることが多いです。たしかに昔と比べて特注シャツや複雑なロゴマークなど豪華なデザインのユニフォームが増えていて、その対比で驚くことがあるのかもしれません。しかし、それをのぞいても、やはりシンプルなデザインにはエナジィ・生命力と言ってもよいものを感じることがあります。これはきっと野球ユニフォームだけに言えることではなくて、あらゆる芸術や工芸品にも言えることなのかもしれません。 |