2008年5月30日(金曜日) 「帽子本体でホワイト色が増えている!?」 ここ数年、帽子本体カラーでホワイト色を使うチームが若干増えているように観察されます。ツバや天ボタン、穴かがりはチームカラー色が使われてアクセントになっているデザインです。 帽子本体がホワイト色というのは、学生野球の練習キャップを想像させることもあり、草野球の試合用キャップでは採用されることがほとんどありませんでした。それがなぜ増えているのでしょうか? 推測の域を出ませんが、さわやかなデザイン、ライトな印象、遊び心の表現、そういった方向性に対する要望が強まっているのかなと思います。そうした軽さの方向性とホワイト色は上手く合ってきます。 また、シャツが近年、コンビネーションモデルや特注モデルなどで、わりと豪華な、少し悪く言うとコテコテしたデザインが多くなって来ています。その印象と中和させるために、帽子本体カラーは逆の方向性に動いている可能性もあるかなと思います。 2008年5月29日(木曜日) 「長持ちするパンツを選ぶ」 野球ユニフォームの価格を、長い目で見て安くおさえるためには、長持ちするパンツを選ぶことがポイントの1つだと思います。 試合用パンツの販売価格は1本あたり3,500〜5,500円ぐらいです。パンツを買い換えずに済めば、ずいぶんと金額をおさえられることになります。 パンツを長持ちさせるためには、(1)耐久性のよいものを選ぶ、(2)スライディングを多用する人はパッド補強をしておく、(3)別のシャツにも対応できるデザインにする(奇抜なライン加工を付けない等)の3点があります。 2008年5月28日(水曜日) 「少しずつ買い換える」 野球ユニフォームを一式買い換えるとなると、一般的には14,000円以上、できれば20,000円ほど必要になってきます。4〜5年使うことを考えれば安いかもしれませんが、一度に出費する金額としては安くはないと思います。 一式そろえた方がお得度がアップする場合もありますが、今回はシャツだけ作り替える、帽子だけ新しくする、といった形態もありだと思います。そうすると、その時の出費額自体はかなり低いものになります。 またメンバーによっては、各自でパンツやアンダーシャツあるいはキャップ等を買い換えている場合もあります。最近新しくしたばかりだと、ユニフォーム一式を買い換えることには大きな抵抗があります。 2008年5月27日(火曜日) 「安い価格には裏がある」 どんな商品でもそうですが、安い価格には理由があります(反対に高いなりの理由もある)。野球ユニフォームでもそれは言えます。 ユニフォームも衣類ですから、素材・縫製のレベルが価格形成に大きな影響を与えます(マーキングも同様)。素材の質を落とし、縫製の手間を省けば、その分安く仕上がります。 多少のばらつきはあるものの、高いもの=良いものという基本的な傾向はあります。シビアに考えない限りは、あとはチームの予算に合うものを選ぶしかないのかなと思います。 素材・縫製のレベルは、シャツのデザインや配色等とはちがって、目に見えにくいもの。カタログにも詳しい説明は載っていませんし、販売店も説明がしづらいところです。また完成した時点では発揮されず、長い年月(と言っても数年ですが)使用することによってはじめて違いが際立つ場合もあります。 2008年5月26日(月曜日) 「チームカラーが決まってもシャツカラーは決まらない」 チームカラーが決まっていても、シャツカラーは自動的には定まりません。もちろんいくつかの候補に絞られてきますが、それでも比較・検討してみなければならない数は多いと言えます。 たとえばチームカラーがネイビー*レッドだとしましょう。この場合、主なシャツカラーの候補は次の14通りになります。 単色シャツ:ホワイト、グレー、ネイビー、レッド チームカラーがアクセント:ホワイト*ネイビー、グレー*ネイビー、ホワイト*レッド、グレー*レッド ホワイトまたはグレーがアクセント:ネイビー*ホワイト、ネイビー*グレー、レッド*ホワイト、レッド*グレー チームカラーで構成:ネイビー*レッド、レッド*ネイビー 実際の検討・打合せではさらに、キャップやその他のアクセサリィ、マーク配色等も考慮に入ってきますので、膨大なパターンが生まれてきます。重要なシャツ色を早めに定めてしまうことが、制作のポイントのひとつだと言えます。 2008年5月23日(金曜日) 「相手チームにどういう印象を与えるか」 野球ユニフォームは、自分たちが気にいっているかどうか、カッコイイと思えるか等だけでなく、相手チームにもどう見えるかを考えてみるのもたいせつです(もっと広げれば観客・応援者にも)。 相手チームが「このチーム強そうだな」とか「チームワークが良さそうだな」とか「すげぇ打撃力がありそう」とか、そういう印象を与えられたら良い、と普通は考えます。 しかし、「このチームとまた戦いたいな」とか「こいつらと試合すると楽しい」とか、そういう友愛の方向でデザインを考えてみるのもありではないか、と思ったりもします。 ゲームなのだから勝ち負けにこだわって当然、つまり相手を圧倒するようなデザインであって正統です。けれど同時に、ゲームだからこそ、相手に対する尊重、互いに楽しむ精神も忘れないようにしたいです。プレイやマナーだけでなく、ユニフォームのデザインにもそれを求めてよいなとふと思いました。 2008年5月22日(木曜日) 「ライン加工はシャツに強さを与える」 ライン加工のデザイン的な機能・意味は、シャツ本体に強さを与えることです。ここで言う強さとは、力強さ(Power)のことではありません(シャープ感やスピード感を強調するケースもあります)。マークに負けない、引けをとらないという意味での強さです。 ユニフォーム・シャツは、シャツ本体とマークがいったいとなって初めて意味を成します。マークばかりが目立ってしまってはいけません。もちろん反対にシャツ本体ばかりが際立ってもいけません。 単色シャツにライン加工を付けることが多いですが、それは単色シャツだけだとマークに負けてしまうケースが多いからだと思います。反対にコンビネーションシャツではライン加工を足さなくても、十分マークと釣り合いがとれることが少なくありません。 2008年5月21日(水曜日) 「5月の風物詩」 プロ野球ではこの時期、交流戦が始まります。この期間のためだけに特別なユニフォームをわざわざ設けるチームも年々増えています。デザインは豪華なものや奇抜なもの、特注でも対応できないものが多く、そのまま草野球のユニフォームに取り入れるのは難しいです。しかし「あっ」と思わせるヒントもあります。 もうひとつ思うことは、草野球チームでセカンドシャツあるいはセカンドキャップを持つことがこれから増えるのではないかということです。一般に、予算(おこづかい・笑)の都合で、草野球チームでは1つのユニフォームしか持っていません。けれど、こうして様々なユニフォームを目にすると、別のデザインも欲しくなるのが人の感情。プロ同様に球場やイベント、季節に応じてユニフォームを変えられた、もっと楽しくなるかもしれませんね。 2008年5月20日(火曜日) 「考えるのはタダじゃない」 単色シャツがよいという人もいれば、1色マークがよいという人もいます。特注シャツや3色マークが必ずしも豪華で素敵だとは限りません。たとえ豪華で素敵であっても必要がない、関心がないという場合もあります。 ただ、考えることに贅を惜しんではいけないと感じます。たとえ単色シャツでも1色マークでも、じっくり考えるべきデザインの分岐点が出てくることが多いです。まあ、直観的に「コレだ!」というデザインもありますが。 2008年5月19日(月曜日) 「アイボリィ色」 アイボリィ色は需要がほとんどありません。学生野球や少年野球でも年々減っているように観察されます。定番品にラインナップされていることも少ないです。 単なるイエロー色とはちがって、アイボリィ色には鮮烈さがなく、むしろくすんだ印象の方が強いかもしれません。白いものは陽にあたるとやがて薄い黄色、すなわちアイボリィっぽくなります。こうした印象が人々の意識にあると思います。 逆に言うと、古めかしさを演出したいときにはアイボリィ色を使うのが効果的だと言えます。 さらに、古さというのは伝統、ブランドにもつながります。アイボリィ色と茶色やオレンジ色を組み合わせると高級感を出せます。 2008年5月16日(金曜日) 「ライン加工は奥深い」 ライン加工は奥深いです。位置、幅、色などが多岐にわたるのがポイント。どれがいいかを直接的に指定するというよりも、組み合わせ方によるパターンが急速に増えて難しくなるのです。 ライン加工にも一般的な傾向・方向性というものはあります(たとえば細い線はシャープで、太い線は力強い印象)。しかし、シャツ種類やマーク書体などと比べると、つねにユニフォーム全体のデザインと関連付けて考える必要性が高いのもポイント。 ライン加工はユニフォームに与える影響が大きくはありませんが、そこがかえって独立した考察・設計を難しくしています。 2008年5月15日(木曜日) 「天邪鬼的多様性」 これだけコンビネーション・シャツを採用するチームが増えてくると、「ウチも作り替えるときはそうしようか、でも、どうせ変えるなら他のチームとちがう風にしてみよう」という声が挙がってきます。 反対に、周りがコンビネーション・シャツだらけなので、意図的に単色シャツにするチームも出てきます。 こうした天邪鬼的な動きは、シャツのかたちだけでなく、チームカラーやマーク書体についても見られるように思います。他と一緒になりたがらないのが、野球ユニフォームのデザインに多様性を生みつづけているように思います。 他の製品ではしばしば、「売れているから」という理由で、他社のデザインを真似ることが見られますが、野球ユニフォームではたとえメーカ間が画一的になっても、ユーザ・レベルであっさりくつがえされるというダイナミックさがあるように思います。 2008年5月14日(水曜日) 「カラーの軸移動」 野球ユニフォームにおいてカラーの微妙なちがいにこだわりたい場合があります。そういう時には、カラーに対する見方をどれだけ持っているかが問われるときがあります。訓練法のひとつは、ある色をどんどん変えていったらどうなるか想像してみる・実験してみることです。 たとえばブルー。これに赤の方向性を加えると、ロイヤルブルーになります。ロイヤルブルーを暗くしてゆくとネイビーになります。 たとえばエンジ。赤寄り=茜や茶に近いエンジもあれば、青寄り=紫に近いエンジもあります。 たとえばグリーン。青を加えてゆくと、エメラルドからターコイズブルーになり、やがては水色になります。 たとえばイエロー。赤を加えてゆくとオレンジになってゆき、色を抜いて暗くすると黄土や茶になってゆきます。 2008年5月13日(火曜日) 「らしくない、今までにない」 野球ユニフォームにおいて、野球っぽくないデザイン、あるいは、これまでのそのチームらしくないデザインを求めることは案外と簡単です。難しいのは、今までにないデザインでありながら、みんなが野球っぽい、自分たちのチームらしいと思えるバランスのあり方です。野球っぽさや自分たちのチーム感に対する感覚は人それぞれ。次に大事なのは「みんな」の範囲を決める、あるいは「みんなの感覚」に対する想像をはたらかせることです。 たいていの草野球チームではメンバーが「みんな」の範囲ですが、プロ球団や学校では外野の方が人数が多かったりもします。 2008年5月12日(月曜日) 「チーム名に3つ以上のシンボルを組み合わせる」 新しくチームを立ち上げる。チーム名をどうしようか考えている。そういう時にちょっと試してもらいたいのが、3つ以上のシンボルを組み合わせることです。 たとえば、よくあるチーム名の付け方としては「地域名+動物名」があります。「東京ペガサス」といった具合です。2つのシンボルが組み合わされていて、従来の野球チームっぽい名づけ方です。 そこにもうひとつシンボルを付け加えて「東京ワイルド・ペガサス」「東京レッド・ペガサス」「東京ペガサス・ウィングス」といったチーム名にしてみます。単なるシンボルではない、新しい軸が加わったシンボルとなります。そうするとユニフォームのデザインを考える具体的な要素にもなりますし、あるいは、似たような他チーム名との差別化にもなります。 一見すると対立関係にあったり、関連性が全くないようなシンボルの組み合わせも面白いと思います。たとえば「フライング・ペンギンズ・ブラザーズ(Flying_Penguin's_Brothers)」「バーニング・ウォータ・ホース(Burning_Water_Horses)」「ノー・ウィング・エンジェルス(No_Wing_Angels)」「フレンドリィ・ゴールデン・デビルズ(Friendly_Golden_Devils)」といった具合です。こういう路線では歌手名・バンド名に参考になるものがたくさんあります。 2008年5月9日(金曜日) 「崩れゆくスペシャルセット」 『レワード・バリューセット』や『デサント・クイック100』などのスペシャルセットは、良くも悪くも、その寿命の最期に来ているように思います(少なくとも成長期がおわった)。 というのは次のような兆候が見られるからです。(1)各メーカがそろってスペシャルセットを販売している。(2)メーカ間でセット内容の真似が増え、価格競争の面が強くなった(場合によっては低価格に設定するため質も下げている)。(3)原材料等の価格が高騰しており、さらなるプライスダウンができないばかりか、現状価格の維持も難しい。(4)選べる種類が増えすぎて、通常のユニフォーム作りとあまり変わらない。 メーカの売り出すセットがスペシャルであることに、たいせつな意味はありません。各チームの野球ユニフォームが特別であることに意味がある、そこに立ち帰ってみる時期なのかもしれません。 2008年5月8日(木曜日) 「分かりやすいスペシャルセット」 2001年頃より『レワード・バリューセット』や『デサント・クイック100』などのスペシャルセットが販売されています。 スペシャルセットの特徴は、 1.限られたウェアとマークの組み合わせから選ぶ 2.デザインにかかわらず同一価格である 3.納期が約3〜4週間と安定している の3点だと思います。 これら3点に共通するのは「分かりやすさ」です。デザインが自由過ぎないところがかえって考えやすい。使われるウェアやマークの種類が定まるから価格を明示しやすい。需要の目安がつきやすいから製造工程を組みやすい。 スペシャルセットはしばしば安さがアピールされますが、根底にある革命的な要素はもっと別のものだと思います。 2008年5月7日(水曜日) 「探しても見つかりません」 野球ユニフォームは各チーム毎のオリジナル・アイテムです。オリジナルですから、原理的には、できあがる前には、未だこの世の中には存在しません。 もちろん実際の制作では、定番品・既製品をベースにしたり、あるいは基本となるデザイン、参考となるスタイルはあります。しかし、それらの中に自分たちのチームのユニフォームを探そうとしても見つかりません。 なにがオリジナルなのか、自分たちはユニフォームに何を求めるのか。そういったことを考えることが「オリジナル」野球ユニフォーム作りには必要です。 2008年5月2日(金曜日) 「ピンク色」 最近の野球ユニフォームで、人気がないけど取り入れたいカラーNo.1(矛盾・笑)は、ピンク色かもしれないと思います。プロ球団の影響もあって、エンジ色やマゼンタ色の人気はぐんぐん伸びていますが、同じ方向性にあるピンク色を採用するチームをちらほらと見かけるようになりました。女性に似合うのは当然ですが、男性でもなかなかのもの。カジュアルやビジネスのウェアで、ピンク色のシャツを着る方も少なくないと思います。 ピンク色は、強さはないけれど、明るくて活力あるカラーです。とんがっていないところがレッド色と異なり、くすみの無さがオレンジ色やエンジ色とはちがいます。 マーク生地や刺繍糸にはピンク色がありますので、簡単に採用可能。ウェア生地にはピンク色がほとんどラインナップされておらず残念です。 2008年5月1日(木曜日) 「背景がある」 カタログでも打合せでも、これから考えるべきことのひとつは、真っ白い背景を使っていることです。ある意味分かりやすいですし、画像を用意しやすいのですが、現実的ではありません。 野球ユニフォームの背景にふさわしいのは、やはりグラウンド。土があり、芝があり、空がある。ベースがあり、フェンスがあり、ラインがある。そういう背景の中でユニフォームを見ると、またちがった印象になるはずです。(背景付きの映像を想像すればいいんですが、できる人は少ないでしょう) |