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はじめての野球ユニフォーム作り
〜スピリットをかたちにする〜

2008年4月



2008年4月30日(水曜日)
「本職が出る」

 
草野球は本職ではありません。基本的に趣味です。ですから皆さん大抵それぞれ別に職業をお持ちです。その職業で培ったものが、打合せの中でたまに出てきます。これは店舗側にとってなかなか楽しい経験だと思います。
たとえばで、しかも推測ですが、現場監督や棟梁の方は、すぱすぱっと決めるところは決めてしまい、こだわるポイントはじっくり腰をすえて打ち合わせてきます。仕入れ担当の方は、ここまで勉強できるんじゃないという金額を具体的に挙げてきます。コンピュータ関係の方は、これぐらい簡単にできますよねという確信的な質問をしてきます。凄腕営業マンの方はきっちり要望を伝えつつ、丁寧な心遣いを見せてくれます。アパレル関係の方は、普通の野球っぽくないけど斬新なデザインを希望してきます。
野球ユニフォームについてどう考えているか、あるいは、野球をどうプレイしているかとは、まったく別の軸が見え隠れするのです。なるほどなぁ、と勉強させてもらっています。
 
 

2008年4月28日(月曜日)
「強さにもいろいろ」

 
1色マークや2色マークの注文がなぜなくならないのか? 単色シャツの注文がなぜなくならないのか?
価格の問題を別にすれば、ひとつの答えは、デザインのシンプルさを求めているというもの。方向性としては確かにそうです。しかし、出来上がったユニフォーム全体をながめてみると「うわっ、なんか強そう」と見えることが少なくありません。野球ユニフォームはデザインそのものが独立してあるわけではありません。着て、プレイして、結果が出る。そういう大きな背景から見れば、シンプルさだけを追求するのはなんか変です。
デザインに強さを求めた結果、たまたまシンプルになっただけ。強さの方向性にもいろいろ。豪華な強さもあれば、素朴な強さもある。
 
 

2008年4月25日(金曜日)
「帽子のシルエット」

 
キャップのシルエットには、大きく3種類あります。ひとつは、学生野球でよく見かけるような角張ったシルエット。もうひとつは、メジャーリーグのようなしっかり丸みのあるモデル。これらの中間的なシルエットが3つ目。
草野球での採用割合は、角張り1:しっかり丸み2:中間的7ぐらいと観察されます。野球以外のスポーツやカジュアルシーンではしっかり丸みのあるモデルがほとんどの割合を占めているようなので、草野球の分布具合はすこし特異だとも言えます。
背景のひとつは、各メーカが中間的なシルエットのモデルをラインナップの中心においていることがあります。アメリカンキャップとうたっているキャップがありますが、よくよくシルエットを見てみると丸みを抑えてあったりることが多いです。
最近の日本プロ球団はしっかり丸みのあるモデルに主流が変わってきていて、ファングッズのレプリカ・キャップも丸みのあるシルエットです。しかし少年野球や学生野球になると角張ったキャップが主流を占めていて、この時代での経験がその後の好み、つまり、しっかり丸みのあるキャップへの抵抗感に少なくないを与えているのかもしれません。そんなユーザの傾向をみて、メーカも中間的なシルエットを前面に出しているのかもしれません。
ただ、やはり時代の趨勢を見てみると、これからは少年野球や学生野球でも丸みのあるシルエットが増えてくると思います。あこがれの的=プロ選手が丸みのあるシルエットを採用する以上、一般ユーザもその方向へ傾くように観察されます。
 
 

2008年4月24日(木曜日)
「1mmが問われるマーク箇所」

 
マークのデザインでは1mmの大きさが問われる時があります。とりわけ帽子マークや袖マーク、袖ワッペンなど、小さなマーク箇所の時です。縦や横の長さだけではなく、面積という見た目の大きさがかかわってくるからです。
たとえば円形の袖ワッペンはおおむね直径9cm程ですが、直径が89mの時と直径が90mmの時では、面積では2%程の差があります。2%ぐらいでしたら、気づかない人は気づかない差かもしれません。しかし直径88mmと直径92mmで比べると、直径差はわずか4mmですが、面積では約9%の差になります。これはもう誰でも見ただけで大きさが一回りちがうなと感じられる差になります。  
 

2008年4月23日(水曜日)
「ベルトループのライン加工」

 
パンツの、左・右・真後の3箇所のベルトループ(ベルト通し)に、U字型にライン加工をほどこすことができます。ベルトループに箇所にライン加工をしているプロ球団はとても少ないです。草野球でもほとんど見かけません。力強さが出るので好きな人にはこだわりたい箇所ですが、こてこて感も出てしまうと言えば出てしまいます。
ベルトループへのライン加工代は基本的に、他の箇所と同じです。しかし手間を考えると3〜4倍は取ってもよいのではと思います。ベルトループは通常パンツに縫い付けられていますので、ライン加工をほどこすのは一苦労だと思います。
 
 

2008年4月22日(火曜日)
「シャツの立衿」

 
野球ユニフォーム・シャツには立衿を付けることができます。学生野球のユニフォームではまれに見かけます。立衿が付くと、一般のカジュアルウェアでもそうですが、品位あるデザイン、フォーマルな雰囲気になります
最近ラインナップされているセカンダリィシャツを見てみると、衿ジャージ付きタイプが増えているように観察されます。立衿とはやや趣がことなりますが、どこか似通った方向性も感じます。
 
 

2008年4月21日(月曜日)
「帽子マークの大きさ」

 
帽子マークの大きさは、おおむね縦55mm以内*横110mm以内におさめることが必要です。
帽子マークのデザインで縦に2〜3文字組み合わせることがありますが、やはり1文字の時と比べるといくぶん小さく見えます。また立体加工(ウレタン入り加工)にできない場合も出てきます。帽子マークをしっかり大きく見せたいときは、1文字にするか、横に2〜3文字並べるようなデザインにします。
帽子マークが横広のデザインの時(目安として縦1:横2以上)は、高さを40〜45mm前後にすることがあります。高さを制限いっぱいの55mmにしてしまうと、異常に大きなデザインに見えてしまうからです。
一般のカジュアル・キャップでは、ロゴマーク・帽子マークを小さめに入れていることがありますが、野球ユニフォームではあまり見かけません。もちろん見かけないだけで技術的には対応可能です。シャープ感を求めたいときは、小さめにしてみるのもよいかもしれません。
 
 

2008年4月18日(金曜日)
「パンツのパッド加工」

 
野球ユニフォームのパンツには、ヒザやヒップにパッド加工をほどこすことができます。スライディングでの衝撃を和らげ、またパンツの寿命を多少長くしてくれます。
1箇所につき1,500〜2,000円ほどかかりますので、決して安いとは言えません。
ひとつ裏技があります。学生用やジュニア用の練習向けパンツで、両ひざパッド付きのパンツが定番品にラインナップされています。裾種類はレギュラー限定で、練習向けなので素材や作りが多少落ちますが、パッド付きのわりにはとてもお買い得だと思います。試合用パンツと比べて3分の2ぐらいの価格設定であることが多いです。草野球のゲーム用パンツとしても十分使えると思います。
 
 

2008年4月17日(木曜日)
「2ボタンシャツ」

 
2ボタンシャツは、定番品としてはほとんどラインナップされなくなりました(練習用シャツやセカンダリィシャツをのぞく)。
2ボタンシャツは、かぶって着るから着やすいというアピールをされることがありますが、かぶって着る方がかえって抵抗を感じる人も少なくありません。特に野球ユニフォームの場合は、マークが付くので幾分かゴワゴワ感も増します。
2ボタンシャツの機能的な利点は、ヘッドスライディングをした時に土砂が入りづらいことです。ただシャツとパンツの間から、あるいはメッシュ素材の時はメッシュ穴から土砂が入ってしまうので、あまり意味はないんですが。前開き部がないので隙間風が入りづらいのは冬場に若干ありがたいかもしれません。
最後に見た目。プルオーヴァスタイル(かぶって着る)というのは、どうもTシャツ的な見た目に近づきます。ボタンダウンシャツ(前開きシャツ)のもつフォーマル感から遠ざかってしまうのです。野球ユニフォームには、スポーティさとともにフォーマル感も求められることが多いので、2ボタンシャツの人気・需要が低迷しているのかなと思います。
 
 

2008年4月16日(水曜日)
「帽子ツバ裏のカラー」

 
野球キャップのツバ裏はほとんどグレー色で、まれにグリーン色です。しかし他のスポーツやカジュアルシーンでは、ツバ裏カラーは表地と同じであることが多く、わざわざグレー色やグリーン色にすることは珍しいです。
ツバ裏の素材は、光の反射を制御するために、キャップ表地の素材とはちがうものが採用されています。メーカ側からするとツバ裏のためだけに対応カラーを増やすのは難しいかもしれませんが、こういった部分も選べるようになると、野球ユニフォームのデザインがもっともっとシャープにかっこよくなるのではと期待しています。
 
 

2008年4月15日(火曜日)
「立体であることと立体的に見えること」

 
胸マークや帽子マークあるいはワッペンの「デザイン」は、基本的に平面の存在です。しかし立体感があるかどうかはマークの迫力にかかわってきます。
たとえば胸マークの筆記体はよく見ると、末尾にむかってだんだんと文字が小さくなっていることが多いです。ほんのわずかな違いですが、技法のもつ効果は大きいです。
立体的に見せるためには、ある物体がだんだんと小さくなってゆく様を見せること、あるいは、色の濃淡を付けることの2つがよく使われます。
ただし忘れてならないのは、どんなに立体的に見せてもそれは立体にはならないという点です。とりわけ正面からではない別の角度から見られた時に立体感が減少します。角度が変わったのだから、大小の比率が変わるべきなのに変わっていない。光のあたり具合が変わったのに、色合いが変わっていない。そういった変化の無さを人間の脳は一瞬で感じとってしまいます。
野球のロゴマークも、デザインの中でいくら立体的に見せても、やはり限界があることを忘れないようにしたいです。絵画のように飾ってあって正面ばかりから見られるわけではないのです。加工の観点からすると、プリントが刺繍にかなわないことがあると言えます。
 
 

2008年4月14日(月曜日)
「シャツの種類はまだ増える!?」

 
草野球向けのシャツ種類・型番は現在、各メーカ毎に15〜20種類ぐらいとなっています。この種類数はもう増えないのではないか、という観測・予想があります。年毎にデザインの入替はあっても、メーカのかかえることができる在庫数が限界に達しているというわけです。
しかし反対に、あと10〜20種類程度は増えるのではないか、という予想もあります。
理由のひとつは、プロ球団の動向です。各球団が年々オリジナル・シャツを採用しており、また交流戦等の記念試合のために特別なシャツを設けることもあるからです。これらに全て対応しようとすると、当然、シャツのラインナップは増えてゆきます。
もうひとつはメーカ間の競争です。たとえば15種類のシャツしか選べないメーカよりも、30種類選べるメーカの方が注文を多く取れる可能性は高いです。経営的に難しくても、そこはなんとか工夫して、早くラインナップを増やした方が最終的には利益につながる可能性があります。
最後に、15種類前後だと、各チームに合ったシャツの候補が実質的には1〜3つぐらいしか無いように観察されます。15種類から絞って絞って1〜3種類になるのではなく、残りの12種類以上はそもそも眼中にないのです。つまりこの3種類の中から選べと言われている状況とさして変わりないのです。ですから、ラインナップとしては30種類前後=実質的な比較対象3〜6種類が必要だと言えます。
 
 

2008年4月11日(金曜日)
「安いブランドは死ぬ」

 
安さを売り物にしているブランドで長く生き残るものは無いのではないかと思います。ブランドの価値は本質的に価格にはないのです。
野球ユニフォームは、名の知れたメーカ品かどうかの違いはありますが、一般的な意味でのブランド品ではありません。けれど、やはりブランド的な志向をもっているかどうかが、そのメーカの未来にかかわるように思います。ここ10年ほどは、価格をどれだけ安く設定できるかが、主要なポイントのひとつでしたが、もうそろそろ方向転換が必要になってきたと思っています。では、価格ではなく何を追及するのか。一番ありそうな答えは「機能」あるいは「自由度・カスタマイズ性」ですが、どうもそれだけではないように思います。
たとえば、自動車で考えてみます。性能が良く、故障もほとんどなく、デザインや価格も満足ゆく車種(またはメーカ)があったとして、果たしてそれだけでブランドになりえるでしょうか?
たとえば、コンピュータで考えてみます。自分の好きなようにパーツや機能を設定でき、価格も高くなく、納期も早い。それだけでは一流メーカ品ではあっても、ブランド品と呼べるでしょうか?
 
 

2008年4月10日(木曜日)
「定番品にない」

 
シャツやキャップで、ユーザ様の希望通りのアイテムが定番品にない、ということが近年増えているように思います。しかも、「素材は良いんだが、シルエットがどうも...」とか「形はこれでいいんだけど、欲しいカラーが定番カラーにない」といった、微妙な外れ方をしているように思います。
ラインナップが充実していない、メーカの選択眼がよくない、という風に見ることもできるかもしれませんが、おそらく違うと思います。やはり定番品というのは、吟味してみれば、大方のユーザの志向に合っているように観察されます。
では、なぜ微妙な差が生じるのでしょうか? おそらくは、定番品=人気商品に対する抵抗があると思います。人気商品だから確かに質もデザインも良いのですが、それを選べば他のチームと同じになってしまう。それは嫌だ。そこで、定番品に、自分たちが元々持っている好みをちょっとだけ付け加えれば、質もデザインもオリジナル性も満たせる。そんなオリジナルに対する潜在的な傾向が、年々強くなっているのではと思います。
 
 

2008年4月9日(水曜日)
「ロゴマークの自動作成」

 
コンピュータ技術の発展により、胸マークや帽子マーク等のロゴマークは、自動作成化が日に日に進んでいます。キーボードでチーム名を入力し、マーク書体を選んで、作成ボタンを押せば、一瞬でロゴマークが出来上がります。家庭用のワープロソフトやグラフィックソフトでもそうした機能がありますが、プロ用・工業用ではさらに充実した機能となっています。
ライセンスやデータ容量の関係で、インターネットでの公開もまだまだ先かもしれませんが、夢物語ではなくなってきました(一部のサイトでは既に導入されていますが、機能的にはまだまだ不十分と言えます)。
では、いずれ人間のデザイナは不要になるかというと、やはりそうはゆきません。自動作成の出来具合のレベルを高めることはできますが、画竜点睛の部分は残るように思います。
理由のひとつは、作成ルールの複雑さにあります。基本的には文字配置・レイアウトの問題になるのですが、書体*文字数*使用文字*文字配列*文字意味の組合は多岐にわたります。ある程度のデザイン・ルールは確立されていますが、全てのルールを網羅してプログラミングするのは現実的に難しいと思います。不満足な基準で作成されたロゴマークは、見習いのデザイナが作成したレベルまで落ちることがあります。とりあえず野球のロゴマークの形にはなっているけれど、部分的には修正を必要とする(少なくとも修正の余地あり)ということです。
また、野球のロゴマークは芸術品ではありませんが、工業製品ではない。ロゴマーク作成に求められているのは精度ではなく魅力なのです。時にはデザイン・ルールから外れようとも、そのチームにとって価値あるロゴマークを作成することが大切なのです。コンピュータはルール通りに作成することはできるかもしれませんが、ルールから外れたものの価値を評価することは難しいのです。
 
 

2008年4月8日(火曜日)
「背ネーム書体は増えている」

 
背ネームの書体は、ここ数年で増えています。プロ球団では球団毎に書体のクセのようなちがいが多少ありましたが、基本的には1〜2つの書体でした。しかし球団のブランド戦略、独自ユニフォームの追求等にそって、背ネームにも差別化の波が現れています。
草野球でも背ネーム書体が2〜3種類から選べるようになってきました。ユニフォーム全体のコーディネイト、統一感からすると、とても歓迎すべき傾向だと言えます。
ただし草野球では、プロ球団のような種類まで増やすのは難しそうです。というのは、背ネームの書体を増やすことはとても労力・下準備を必要とするからです。アルファベットは26文字あり、名前の長さ=文字数によって幅を3つ程変えるので、背ネーム1書体につき80文字近くを作成・登録する必要が出てきます。コンピュータである程度自動化できるのですが、やはりまだ人の判断を必要としています。
 
 

2008年4月7日(月曜日)
「大きくて、猛々しい」

 
チーム名に昆虫類の名前を取り入れるチームは、とても少ないです。プロ野球しかりですが、草野球でも100チームに1チーム有るか無いかだと観察されます。クモ(spider)、バッタ(grasshopper)、ハチ(bee)、サソリ(scorpion)、カマキリ(mantis)、トンボ(dragonfly)などは採用される方ですが、全体としてみるとやはり少ないです。
また、パンダやコアラ、キリン、カンガルー等、見た目や生態において凶暴性の欠ける動物もほとんど採用されていません。
つまりチームを象徴させるものとしては、大きくて、猛々しいものが好まれていると観察されます。おそらくこれは野球のチーム名にかぎったことではなく、人があこがれたり、たとえたりすること全般に言える傾向だと思います。たとえば、あだ名でイモムシだとかハトだとか付けられるよりも、ライオンと呼ばれる方が多くの場合好まれると思います。
 
 

2008年4月4日(金曜日)
「エンジ、グリーン、パープル」

 
エンジ、グリーン、パープルをチームカラーとするチームは、およそ10%程です。3色集まれば意外と少なくないなという印象です。とくにエンジ、グリーンはここ数年で採用するチームが増えています。メーカもそれに対応するようアンダーシャツやベルト、ストッキング等で対応カラーを備えるようになりました。
この3色に共通して言えることは、主役にはなれても脇役にはなりにくいという点です。案外と個性が強いとも言えますし、副え色としての華やかさに欠けるとも言えます。
もうひとつ共通して言えることは、イエロー色との相性がよいということです。この3色のもつ渋みの方向性が、高貴な印象に生まれ変わります。
 
 

2008年4月3日(木曜日)
「ワイドストライプとシャープな時代」

 
ワイドストライプの需要は年々減っています。10年ほど前までは、そのパワフルな印象が好まれていました。しかし現在、日本プロ球団で採用するチームもついになくなりました。
ひとつの影響はメジャーリーグ人気にあります。メジャーリーグは細いピンストライプであり、ワイドストライプを求める声が減ってゆきました。
もうひとつは時代の求める方向性にあると思います。つまり力強さよりもシャープなデザインを求める時代だということです。これは野球ユニフォームに限った流れではないように観察されます。たとえば自動車のシルエット。大きくで角張ったデザインではなく、流線的でコンパクトなデザイン。漫画や映画の主人公も筋肉モリモリではなくスマートな体型。家具や家電にも無骨さを廃し洗練されたものが求められているように思います。
 
 

2008年4月2日(水曜日)
「鏡の中から手が出てくる」

 
目の前に鏡があります。自分の上半身が映っています。鏡の中の自分の腕が、鏡から抜け出てこちらにきます。
これが、マークをデザインする時のコツのひとつだと言えます。枠をつくって、そこからわざと飛び出させるということです。こうすることで、奥行きと躍動感が出ます。また単なる立体感とはちがうものが出ます。鏡にたとえたのは、そこに恐ろしさに通じるような奇妙な感覚を感じて欲しかったからです。普通ならありえない物の配置が存在の強さを感じさせてくれます
一般的にはワッペンによく使う構図です。円形の土台から、ロゴマークやバット等の小物が交差しつつ飛び出すとデザインに面白みが出てきます。
胸マークや帽子マークにも応用できます。たとえば、親指と人指し指を合わせて円を作ってみます。できた円の中を通しつつ、今度は反対側の親指と人指し指を合わせる。こういう交差を文字同士に持たせるのです。たとえば「G」と「O」の重ね文字で想像してみましょう。基本的には「G」が「O」の下側にありますが、横棒のところだけは「G」が上に来るようにします。
 
 

2008年4月1日(火曜日)
「伝統と常識」

 
野球ユニフォーム作りでも「これがウチのチームの伝統です」といった語り方がされる場合があります。ところで、伝統とは何でしょうか?
伝統とは人の意識です。それが良い、それが当たり前だと思っている人が伝統そのものです。伝統という物が実在するわけではありません。形式やルールでもありません。だから人が変わると伝統も変わってゆきます(失われることもある)。
常識もまた人の意識です。常識の具体的な中身はもちろんありますが、常識そのものが実在するわけではありません。では、伝統と常識の差は何でしょうか?
おそらく「誇り」「愛着」といったものです。もし長く採用される野球ユニフォームを作りたいと思ったら、誇りや愛着を感じられるようなデザインを求めるのがよいと言えます(デザインだけでなく着用してのプレイもかかわってきますが)。

 
 
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